大学時代に「近代化の特徴について」というレポート課題が出されたことがあった。その時、ぼくはずいぶん頭をひねって、「近代化とは時間の短縮の過程である」と書いた。明治時代に書かれた小説などを読むと、今では数分しかかからない距離がその当時は汽車で半日もかかっていたりする。
急行が走り始めた時、乗客は汽車に乗っている時間が少ないのになぜ値段が高いのだ、と文句を言ったという。急速に近代化が進む中での微笑ましいエピソードだ。しかし、今は急行などを通り過ぎて、その何倍もの速さでさらに遠く海を越えていく飛行機が登場し、大活躍している。ぼくの旅でも飛行機はなくてはならない乗り物だ。
飛行機が便利だという意見に異存はない。だが、旅のすべてを飛行機に委ねてしまうのは何とも味気がない。ということで、ぼくは時間が許す限り、陸路で移動することにしている。その巻き添いにあい、バスのトイレに缶詰状態になり、苦しい思いをした友人のYの話はまだ覚えていてくださるだろうか。
列車やバスの中で物思いに耽りながら、車窓の景色を見つめることは旅の中で最も贅沢で豊かな時間だろう。あれはタイのバンコクからアンコール・ワットのあるカンボジアのシエム・リエップという町に行こうとした時だった。もちろん、バンコクからは直行便が出ている。しかし、調べてみると電車で国境の町まで行き、そこからは陸路でシエム・リエップに入ることが可能だという。
もちろん、ぼくは迷わずに列車の旅を選んだ。朝6時にバンコク中央駅を出て、昼少し前にカンボジアとの国境の町アラニャ・プラセットに着いた。駅の周りは雑然としていて、少し怪しげな雰囲気である。何とか、カンボジアの入国管理事務所へ徒歩でたどり着いた。そこで、入国ビザを取得し、いよいよカンボジアへ足を踏み入れることになった。
アンコール・ワットは東南アジアでも指折りの人気の遺跡だ。そこからは頻繁に快適な直通バスが出ているものとばかり思っていた。ところが、カンボジアに入ったのはいいが、バスの駅は見当たらず、地方色豊かな風景が広がるばかりである。そこに現れたのは、カンボジア人だかタイ人だかわからぬが、英語を話す男。
男はアンコール・ワットへのバスはこちら、とぼくを誘う。真昼間に誘拐されることもないだろうと、男の後をついて行く。すると、そこは小さな事務所で、外国人(主に西欧人のバックパッカー)が十人ほど疲れきったように椅子に沈んでいた。次の出発は2時過ぎ、と男は言った。
しかし、列車の駅に着いてから観光バスなどは一度も見ておらず、事務所の外の前庭には古ぼけたピックアップ・トラックが一台駐車してあるだけだった。ぼくはその男に、「バスはどこにあるの?」と問いかけた。男は「呆れた」とでも言うようなジェスチャーをした後、ぼくを事務所の外へ誘った。そして、埃だらけのかなりくたびれた、そのピックアップ・トラックを指差した。
「ちょと、ちょっと、お兄さん、ご冗談でしょう?」というのが、ぼくの心の中のつぶやきである。「行くのか、行かないのか」と男はぼくに迫ってくる。もっとちゃんとしたバスはないの?というぼくの問いかけは、またもその男の嘲笑の的となったようである。少なくとも事務所には十人ほどの人間が出発を待っている。車の中に座れるのはせいぜい3、4人だ。すると、残りは全部トラックの荷台に座ることになるのか?
トラックの荷台には何の覆いもなく、完全なオープンエアー。心配顔のぼくに、男は乗客名簿のようなものを片手に言った。「どうすんの?あんた次第だよ。でも、この他にシエム・リエップに行く方法はないよ。」先ほどからの駅の周辺の風景を思い出すと、男の言っていることも嘘ではないだろう。
そのトラックしかないのなら、仕方がない乗る以外にない。しかし、とぼくは考えた。せめて、運転席の隣か後ろに乗りたい。トラックの荷台に乗って何時間も過ごすのは少々つらい。ベトナムで乗ったあの復員列車≠思わせる三等座席を思い出していた。
男に向かって、「何とか中の席を都合してくれ」と告げると、「割高だよ」と言う。この時は、ベトナムの思い出が強烈に残っていたので、その割高の料金を払うことに躊躇はなかった。これで、遺跡の町シエム・リエップまで車窓の景色を楽しみながら、古のアンコール文明に思いを馳せることができるだろう、とぼくは思ったのだった。
ところが、ことはそんなに思い通りには進まなかった。長年訪れたいと願っていたアンコール・ワットは遥か遠くにあった。
インドネシア ナショナル大学客員教授(博士)
加藤 久典
日時 11月12日(土)、13日(日)10時〜16時(13日は15時まで)
場所 大阪刑務所敷地内 堺市田出井町6-1(JR阪和線堺市駅・徒歩5分)
内容 刑務所作業製品の展示即売=写真=、マイクロバスによる所内見学(整理券が必要)、七宝焼き色付け体験、矯正活動の紹介、バンド演奏・ダンス・マジックなどのステージなど
主催 大阪矯正管区・大阪刑務所・(財)矯正協会刑務作業協力事業部
お問い合わせ 大阪刑務所作業部門
TEL 072-238-8269
日時
11月13日(日)10時〜16時(魚市場は12時まで)
場所
堺旧港後背地(大浜北町3丁)
堺魚市場(栄橋町2丁)
マグロの解体即売(10時、11時)、海鮮、野菜、果物の販売、フリーマーケットなど。今回、和歌山県太地町から鯨の試食・販売も行われる。
主催
堺旧港観光市場実行委員会
後援
堺市
(社)堺観光コンベンション協会
NPO堺国際交流協会
お問い合わせ
同実行委員会 TEL 228−7493
第21回木材団地まつり(主催 同実行委員会〜構成・大阪木材工場団地協同組合、堺市)が10月29、30日に、大阪ツキ板センター「メッセ美原」特設会場で行われた。
今回は「堺市、美原町合併記念ウッドフェア」として、展示即売の他、お笑いショーやチェーンソーアート、よさこいソーラン踊りなど楽しい催しで盛り上がりをみせた。
市校区老人会(上田寛会長)の主催による「福祉大会」がいこいの森会館で開かれた。カラオケ大会ではそれぞれ自慢の声を聞かせた。=写真=
11月25日(金)(毎月25日・天神さんの日)10時〜16時
衣料、靴、特産品、新鮮野菜、骨董品などガレージセールが出店。赤字覚悟の目玉商品あり。同時に出店者も募集している。
出店無料。
お問い合わせは堺商業協同組合(072−250−1100)まで。
11月3日(祝)10時〜
市小学校体育館
主催 市校区自冶連合協議会
※豪華賞品が当たる福引抽選会有り。
企業において資産購入時にその取得価額が少額減価償却資産に該当するか否かで税務上大きな影響が生じることになる。少額減価償却資産に該当することになれば、事業の用に供した事業年度において損金算入が可能となるが、該当しない場合は損金算入が不可能となる。
そこで、まず少額資産となるためには次の要件が不可欠である。まず「使用可能期間が一年未満のもの」であること。
この場合の使用可能期間は税法で定められている法定耐用年数ではなく、その企業の業種において一般的に消耗性のものであると認識、かつその企業の平均的な使用状況等からみて、その使用可能期間が一年未満のものであることや「取得価額が10万円未満のものについては少額資産に該当するのである。
次に、この取得価額は普通一単位として取引されるものであり、その単位毎に判定するものである。例をあげてみると、応接セットを購入する場合はテーブルと椅子との一組を単位として判定する。
そこで一組で10万円未満になるように購入すれば損金算入が可能となるので…。
税理士 大西 正芳