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遊 子 遊 目32
シドニー 貧乏物語 

 シドニーの大学院時代には、 二つの戦いがあった。 まず、 学問の戦い。 これは、 母国語ではない英語やインドネシア語で本を読んだり、 調査をしたり、 複雑な論文を仕上げるということ。 そしてもう一つの戦いの相手は、 貧困!この両者との七転八倒の日々が、 即シドニーの思い出なのだ。
 最初は、 2年の修士課程を終え、 すぐにシドニーを引き揚げるつもりでいた。 しかし、 前回登場のゲーリーことトロンプ教授の学問的深さと、 豊かな人間性に対する尊敬から、 そのまま彼を指導教官に博士課程に進もうと決心した。 だが用意した大学院のための資金は、 2年を終わる頃にはずいぶん心細い額になっていた。
 博士課程となると、 あと3年間はどうしてもシドニーに暮らす必要がある。 日本などに比べるとシドニーの物価は安いが、 それでもぼくにとっては何もかもが高く感じられた。 そこで考えたシドニーでの生活の基本、 それは歩くこと、 そして節約すること。 住んでいたアパートから大学へは徒歩で通うことができたが、 その他はどこに行くときでもバスには乗らずほとんど歩いた。
 週末にシドニーの中華街で開かれる食料・雑貨の市場 「パディーズマーケット」 は、 どんなスーパーよりも安くて新鮮な食材を売っていた。 ぼくは、 大きなリュックサックを背負い、 毎週片道40分かけて買出しに出かけたものだった。 マーケットが近づくにつれて胸が高鳴る。 今日も値切るぞ、 いいものを買うぞ、 という思いが頭の中をかけめぐるのだ。
 この市場での買い物のポイントは、 一つの店で顔なじみになること。 こいつ毎週来ているな、 と思ってもらえるまで多少時間がかかるが、 それでも一度親しげに言葉でも交わそうものなら、 こっちのものだ。 頼まなくてもおまけしてくれる。 実際、 ぼくは毎週、 新鮮な野菜を誰よりも安く買うことができた。 いつもおまけをしてくれたのは、 名前さえ知らない、 恐らく中国からの移民だった。
 ちょうどそのころからだ、 ぼくがあまり肉を食べなくなったのは。 これは、 決して動物愛護の精神や宗教的覚醒ではなく、 肉は高かったので買わなくなった、 という極めて単純な理由からだ。 そうすると工夫するもので、 肉の代わりに野菜を使って料理をするようになる。
 例えば、 春巻きの具はじゃがいもや人参の細切り、 椎茸で充分おいしいものができた。 (これらの野菜は、 あらかじめしょうゆやオイスターソースを混ぜたタレにしばらくつけておくのがポイントである。 参考のため) タイ風カレーは鶏肉など使わず、 ナスやかぼちゃ入りの野菜一杯栄養満点カレーを作り、経済的ベジタリアンと自らを称し結構料理を楽しんでいた。
 そして、 郵便受けに入っている各スーパーのチラシをくまなくチェックし、 どんなに遠くとも歩ける範囲ならば、 その店で買うことを自らに課した。 シャワーの時間は短く。 おまけに、 できるならばトイレは大学で済ませること!これはトイレットペーパーの節約になる。 トイレットペーパーといえどもチリも積もれば山となる、 馬鹿にできない金額になるのだ。 ああ、 こうなるとジャカルタで広々とした家に住み、 二人のお手伝いさんを雇っていたプチ・ブルジョワの影はどこにもない!
 忘れてはならないのが散髪。 これも下手をすると、 一回の料金が数日分の食費に匹敵することもある。 そこで、 登場するのがシドニー大学時代の友人の一人、 サイモン。 あるとき、 サイモンが髪を丸刈りにしてきた。 電気バリカンを買ったのだという。 サイモンの髪型は、 ファッションとしての坊主刈りである。 見ると、 まるで映画俳優のような髪型とそのヨーロッパ風の風貌がマッチしている。
 ぼくが、 この電気バリカンを利用しない手はない。 早速サイモンに散髪を頼む。 素人のサイモンは 「整髪」 などできないから、 ぼくも丸刈りになる。 しかし、 悲しいかな鏡に映ったのは、 映画俳優どころか、 場末の劇場の三文役者にも程遠い昨日まで投獄されていたような、 貧相な顔である。 だが、 貧困との戦いに負けるわけにはいかない。 サイモンの 「結構、 いいよ」 との言葉を呪文のように唱え、 ぼくはシドニーの街を歩いた。
 しかし、 貧困に対する対策として金を節約するだけではだめなのである。 なんとしてでも収入を得ることなくして、 貧困に打ち克つことはできない。 そこで、 畢竟アルバイトをすることになる。 次回は、 貧困の中の労働についてお話しすることにしよう。
NPO法人 堺国際交流協会
 東南アジア研究所主任研究員
博士 加 藤 久 典
ナショナル大学客員教授
(インドネシア・ジャカルタ)


第20回
関西矯正展

昨年は11,000人の来場者があった

 全国の刑務所、 少年刑務所、 留置場の受刑者が製作した製品を集め、 一般の方に広く紹介し販売される。
 また、 受刑者の改善更生を図るため、 刑事施設で実施されている様々な取組みを、 パネル展示等で紹介する。
 さらに20回記念として、 新製品開発コンクール出店作品の人気コンテストも実施される。
 刑務所内の見学 (各日500人限定) も実施される予定。
日時 11月10日(土)・11日(日)
   10時〜16時
(11日は15時まで)
場所 大阪刑務所敷地内
   堺区田出井町6−1
  (JR阪和線堺市駅から徒歩5分)
入場無料
行事内容
・矯正活動紹介
  (各種矯正資料、 教育作品等の展示、 受刑者の単独室のモデルを展示)
・刑務所作業製品の展示即売
  (家具、 神輿、 すのこ、 まな板、 紳士・婦人靴、 枕、 洗剤、 味噌、 醤油など)
・刑務作業の実演・体験
 実演・堺式手織段通、 唐木細工
 体験・七宝焼、 ステンドグラス
・性格検査体験コーナー
・ボランティアによるステージ
 音楽演奏、 ダンスなど
主催 大阪矯正管区、 大阪刑務所
 矯正協会刑務作業協力事業部
お問い合わせ
大阪刑務所作業部門
TEL 
072−238−8265



「わくわくパソコン教室」
  受講者募集

日時 10月4日(木)・11日(木)
     18日(木) (予定)
   9時15分〜12時
場所 堺市立青少年センター
   堺区柳之町西1丁
受講内容 
 ワード・エクセルの基礎
定員 15名
運営協力費 300円
テキスト代 700円
(初回のみ)
主催 青少年センター
ITサポーターズクラブ
申し込み
 往復はがきに住所、 氏名、 電話・FAX番号、 受講日、 希望受講名 (ワード・エクセル)、 ノートパソコン持参できる方は明記のうえ左記まで (返信には宛先を記入)・締め切りは開講10日前
590−0078
堺市堺区南瓦町2丁1
堺市総合福祉会館2F
メールボックスNo.23 宛
お問い合わせ
TEL 265−1248
(担当 島田まで)



10月
議 会 日 程

10月22日(月)10時
 大都市行財政制度調査
 特別委員会

傍聴などの問い合わせは
堺市議会事務局議事調査課
TEL 228−7812




エリート・バレエ・スタジオ
     新規生徒募集

・子どものバレエ (3歳〜)
・大人のバレエ (初めての方から経験者まで)
月謝制・チケット制 各クラス有
見学随時受付中
お気軽にお問い合わせ下さい。TEL 072−223−7222
堺市堺区車之町西2丁2−5ロイヤルコートビル2F
(ザビエル公園横)
http://www.k5.dion.ne.jp/~e-ballet



第九十二回   
無縁物故者慰霊祭

 9月23日の秋分の日、 ホテルサンルート堺で 「第九十二回無縁物故者慰霊祭」 がしめやかに営まれた。=写真= この慰霊祭は、 加藤均 叶V生社代表取締役社長が祭主を務め、 毎年春秋、 彼岸の中日に四十年以上行われており、 今回で九十二回を数える。
 祀られた御霊は三百三十柱にのぼっている。
 加藤均祭主は 「無縁物故者の御霊がいつまでも安らかであられますよう、 私の生ある限りこの法要を続けてまいります」 と霊前に誓っていた。
 当日は、 八田壮老人ホーム、 福生会老人ホームの方々をはじめ、 行政関係者、 一般参列者など三百人が献花し、 物故者の霊を慰めた。



税金豆知識   
祭などの酒類販売は

 暑い暑いと口にしていた夏も終りこれから秋にかけて祭のシーズンに突入だが、 そこでよくみかけるのが祭や物産展などで見かける酒類の販売風景である。 例え一定期間の酒類販売であっても販売免許が必要なことはご存知の事と思う。
 このような一定期間臨時的に販売場を設置して酒類の販売をする場合も期限付酒類小売業免許を受けなければならないのである。 この期限付酒類小売業免許とは酒類製造者又は酒類販売業者が、 博覧会会場や即売会会場やその他これらに類する場所において酒類を販売することのできる免許のことである。
 免許を受けるには次の三点の要件を満たす必要がある。
一、 酒類を販売する目的が特売や在庫処分等でないこと。
二、 販売会場は契約等により場所が特定されていること。
三、 開催期間、 期日が定められていること。
 尚、 催物などで入場者の全部又は大多数が有料入場者であったり、 催物などの期間が七日間以内の場合は右記の三つの要件を満していれば、 所轄の税務署長への届出をもって免許を受けたものとして取扱われる。

税理士 大西 正芳