その街の風景は、 まるでどこかの日本の都会のようだった。 ビルに掲げられた看板、 街灯の配列、 そして街全体の色合いがとても身近に感じられた。 台湾の台北に行ったときも同じ気持ちになったが、 この街はそれにも増して類似の度合いが極めて濃密なような気がした。 ソウル、 日本にとって近くて遠い国ともいわれてきた韓国の首都だ。 ジャカルタから日本に帰るときに、 どこかに寄って帰ろうと思い選んだのがソウルだった。 実は、 それは我が親友K (これまでに本欄に何回か登場) のリクエストでもあった。 旅好きのKとぼくが 「世界旅行協会」 を設立したことは以前書いたが、 Kがぼくの住む外国の街を訪ねてくることはあっても、 二人揃って旅行することはそれまであまりなかった。 そこで、 Kが是非とも一緒に韓国に行こう、 といい出したのだ。 日本と韓国両国で行われたサッカーのワールドカップの2年前のことだった。 「欧米地区担当」 のKがなぜ韓国に行きたいのかと思ったが、 実はワールドカップの会場を訪ねたかったのだ。 調べてみると、 ジャカルタからソウル経由の便がある。 ぼくも前々から訪ねたいと思っていたので異存はなかった。 Kの仕事の都合で、 韓国への入国は別々だった。 まずぼくがソウルに入り、 ホテルを見つけておく、 そしてその後空港でKと落ちあうということになった。 だが、 ぼくはガイドブックも持っておらず、 宿に関する情報は何もなかった。 そこで、 めずらしく空港内にある「ホテル案内所」に行った。 それまで、 韓国人とは比較的接する機会が多くあった。 以前教えていた国際学校には多くの韓国人の生徒がいた。 しかし、 韓国で韓国人に接するのは初めて。 そのとき、 案内所の係員が話したのは何と流暢な日本語だった。 日本と韓国の悲しく痛ましい歴史のために、 韓国人が日本や日本人に対して持つ感情がとても複雑だと深く理解していたので、 にこやかにホテルの案内をしてくれる若い韓国人に少々驚いたというのも嘘ではない。 これならKも納得するだろう、 という値段のホテルを紹介してもらい地下鉄に乗った。 これまた、 まるで日本の地下鉄。 とにかく似ているのだ。 車両内の広告からつり革まで!広告の文字がハングルでなければ、 日本にいるといわれても信じてしまうくらいだ…などとすっかり感嘆の気持ちにひたりながら教えられた駅で降りる。 地上に出たのはいいが、 右も左もわからない。 仕方なく、 ぼくは通りがかりの人に聞いてみることにした。 そのとき、 何語で話しかけたのかは覚えていない。 ただ韓国語でなかったことだけは確かだ。 今も昔も知っている韓国語といえば、 教室で生徒によく言った 「静かに!」 と 「ありがとう」 ぐらい。 道案内を乞えるはずもない。 その通行人は何とぼくに日本語で親切に道を教えてくれたのだ。 日本の植民地時代に日本語が強制されたため、 多くの韓国人が日本語を話すことは知っていた。 しかし、 空港の案内所のスタッフもこの通行人もまだ若い世代の韓国人だ。 ぼくはそれをとてもありがたいことと感じ、 いつか韓国語を勉強しようなどと思ったのだった (ただ、 その前向きな気持ちを今日現在まで実行に移していないのが少し恥ずかしい)。 そして何とかたどりついたのが、 東大門の近くのホテル。 このあたりは24時間営業している市場が有名で、 とても賑やかだ。 こぢんまりとしたまあまあ快適なホテルである。 早速、 一人で街に出ることにした。 道には屋台の食べ物が溢れ、 おいしそうな匂いが漂っている。 アジアの街を多く訪ねているが、 ソウルのストリート食文化は超一級だ。 何を食べようか…と目移りしてしまう。 大好物のキムチもある。 いくつかの店で韓国風太巻き寿司や日本のおでん風の食べ物 (名前はいまだにわからない) を連続して食べる。 おいしい!そしてうれしいことに安い!なんという豊かな食文化だろう、 と一人感激する。 欧米文化の崇拝者であるKに、 「見よ、 このアジアの素晴らしさを!」 と叫びたい気持ちにすらなったのだった。 そのときから、 ぼくは 「ソウルはいい街」 という思いを強く持つようになった。 短絡的に聞こえるかもしれないが、 こういう原初的な人間の感情が歴史を作ってきたのかもしれないのだ。 言葉を越えたところで、 お互い理解し合うということもある、 などといきなり思いは国際平和にまで飛躍する。 とにかく明日やってくるKに、 少しでも先輩風を吹かせられるように、 東大門あたりの地理などをチェックし、 ソウルの初めての夜は無事に終わった。 (続く) |
NPO法人 堺国際交流協会
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南海堺駅ビル1階に設置されている 「堺駅観光案内所」 に茶室が再現され観光に訪れた方などを迎えている。 堺駅観光案内所 |
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人物を対象とした写真と絵画の融合アート 「ローレフォト」 の個展が開かれている。 「ローレフォト」 は撮影依頼者のイメージを大切に写真に油絵用の樹脂をのせ一枚の絵画作品として表現するものとして注目を集めている。 寅貝さんは狭山市在住、 アトリエを開き、 ポートレートや、 家族写真、 ウエディングなど幅広く受け付けている。 日時 6月30日(月)まで 11時30分〜22時 (平日15時〜17時は休) 場所 肉匠 逢喜の郷のギャラリー (入場無料) 狭山市今熊7−1111 (南海高野線金剛駅からコミュニティーバスで10分) 072−366−4444 問い合わせはアトリエトラコ (080−5305−4506) まで。 http://atorietorako.com |
日時 7月10日(木)・17日(木) |
『癒し音たまて箱』 |
各企業においては得意先に対する接待は何かと気を使うものである。 そこで得意先に気持良く帰ってもらうのに宴席の後で接待した飲食店の料理を包んでもらい、 帰る際に 「つまらないものですが……」 と言いながらお土産として手渡す光景をよく見かけることがある。 平成18年度の税制改正で登場の一人当り五千円以下の飲食は交際費の範囲から除外するという 「交際費の五千円基準」 は、 このようなお土産代をはじめ飲食に付随して支出する費用として認められるものであり、 お土産代を飲食代と合算して一人当り五千円以内なら交際費から除外して問題はないというものである。 |
税理士 大西 正芳 |