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ホイアン市長が提案
来年の「ホイアン日本祭り」を堺で

友好の握手を交わすジャン委員長(左)と
友好の握手を交わすジャン委員長(左)と加藤均理事長(右)

 8月24日、25日、歴史的に堺とつながりの深いベトナム社会主義共和国のホイアン市で「第11回ホイアン―日本祭り」(主催 ホイアン市人民委員会)が開催された。開催について長年にわたりベトナムとの交流を進めてきた特定非営利活動法人 堺国際交流協会・特定非営利活動法人 日越堺友好協会の加藤均理事長に協力要請があり、堺から日本舞踊家の藤間流師範 藤間信氏が参加、日本橋水上ステージで見事な日本舞踊『黒髪』を披露し観客を魅了、大きな拍手と歓声がおくられていた。

藤間信氏が日本舞踊を披露
藤間信氏が日本舞踊を披露(大平遼撮影)
 25日には、ホイアン市のレ・バン・ジャン人民委員長(市長)を表敬訪問、ベトナムと日本、ベトナムと堺の友好関係のさらなる推進に向けての協力を確認した。また、ジャン委員長からは来年の「ホイアン―日本祭り」を堺で開催したいとの提案が出され、加藤理事長は堺市や在大阪ベトナム総領事館と共に検討して行きたいと答えた。祭りの期間中、ホイアン市内の観光地内に「堺の物産展」のコーナーが設置され、人々は堺のものづくりに触れていた。
 また、訪問団は朱印船貿易時代、ホイアンで亡くなった堺商人、具足屋の墓を参拝した。子孫にあたる具足武氏((株)堺七道青果地方卸売市場会長)も同行し、先祖の冥福を祈った。
堺経営者協会訪問団も参加。ベトナム日本友好協会らを表敬訪問(大平七海撮影)
堺経営者協会訪問団も参加。ベトナム日本友好協会らを表敬訪問(大平七海撮影)

堺経営者協会ベトナム視察研修会

を迎えた堺経営者協会の海外視察団も同行、会員10名が参加、ホイアン―日本祭りをはじめ、ホーチミン・ベトナム日本友好協会、ホイアン人民委員会などの表敬訪問にも参加した。
  8月23日には会員企業でもある堺化学工業(株)(ミーフック工業団地)、南海金属(株)(ニョンチャック工場団地)をベトナム工場の見学を行った。
  堺経営者協会の植松高志専務理事は「今回の視察旅行はホーチミンでの経済交流と工場視察、ダナンとホイアンでの経済交流と世界遺産観光など中身も濃く大変有意義なものとなりました」と振り返る。
先祖 具足屋の墓を参る具足武氏
先祖 具足屋の墓を参る具足武氏(大平七海撮影)

社説

利休の侘茶の心
東洋大学学長 竹 村 牧 男 

 千利休(一四八〇〜一五六八)は、青年時代から武野紹に師事して茶を学び、また大徳寺の末寺・南宗寺の大林宗套や笑嶺宗、古渓宗陳のもとで修行しました。天正一三年(一五八五)、正親町天皇から勅諡としての利休居士号を受けた時、古渓宗陳から「三十年飽参之徒也」の言葉を贈られたといいます。実に久参の老居士でした。
  『南方録』「滅後」には、「易は、其の法式を階子にして、今少し高き所にも登りたき志有りて、大徳、南宗などの和尚たちに一向問取し、旦夕、禅林の清規を本とし、……」などとあります。また、同じ「滅後」に、「さてまた侘の本意は、清浄無垢の仏世界を表して、この露地草庵に至りては、塵芥を払却し、主客ともに直心の交りなれば、規矩寸尺、式法等、あながちに云ふべからず。火をおこし、湯をわかし、茶を喫するまでのこと也。他事あるべからず。これ則ち仏心の露出する所也」ともあります。このように、利休の茶は、禅そのものであったと言っても過言ではないでしょう。
  南坊宗啓が利休と相談して定め、南宗寺集雲庵の露地の柴門に掲げた『露地清茶規約』に次のようにあるのも、侘茶の精神をよく表わしています。「一、手水の事、専ら心頭をすすぐをもつて、此道の肝要とす。一、……庵主、貧にして茶飯の諸具不偶、美味も又なし。露地の樹石、天然の趣、其のこころを得ざる輩は、これより速かに帰り去れ。一、庵内庵外において世事の雑話、古来、之を禁ず。一、賓主歴然の会、巧言令色入るべからず。」
  ある人が利休に、茶の湯の極意を問うたとき、利休は、「夏はいかにも涼しきやうに、冬はいかにもあたたかなるやうに、炭は湯のわくやうに、茶は服のよきやうに、これにて秘事はすみ候」と答えました。そんなことは分かっているというその人に、利休は「さあらば右の心にかなふやうにして御覧ぜよ。宗易客にまいり御弟子になるべし」と言ったとのことです(『南方録』覚書)。ここには利休の、茶の道の奥義をどこまでも求める謙虚さと厳しさとがうかがえます。
  最後に、かの「滅後」に出る、利休の崇高な人格を伝える感動的な言葉を掲げたいと思います。「宗易居士は、理に通じわざにかなひ、大悟の茶人なり、さる故に四季折々昼夜ともに、自由自在なりし也。其の本を明らめ其の末をわきまへ、ひたすら茶の正道、世につたへんことを根本にふかく志し玉へば、我があやまりをもかくす心なく、人にもわざわざと語り聞かせ、我にまされるよきことあれば、いかなる初心の人の所作をも感嘆して、自他の差別なく、道に於て只深切なりければ、交る人いづれむつまじからぬはなかりし也。」

 千利休(一四八〇〜一五六八)は、青年時代から武野紹?に師事して茶を学び、また大徳寺の末寺・南宗寺の大林宗套や笑嶺宗?、古渓宗陳のもとで修行しました。

東洋大学HP
http://www.toyo.ac.jp