3月13日、川崎重工業株式会社神戸工場西浜岸壁(神戸市中央区)において、防衛省向け潜水艦『せきりゅう』の引渡式(執行者/川崎重工業株式会社代表取締役社長・金花芳則氏)、及び自衛艦旗授与式(執行者/海上自衛隊呉地方隊呉地方総監・池太郎海将)が行われた。式には防衛省副大臣・若宮健嗣氏、海上自衛隊海上幕僚長・村川豊海将、防衛装備庁防衛技監・外園博一氏をはじめとする防衛関係者約200名が出席。その中に阪神基地隊防衛・基地モニター8名も交じり、『せきりゅう』が国際法上、軍艦としての権利と責任を与えられ、祖国日本を護る任務につく、その瞬間を見守った。
引渡式で、金花社長より若宮防衛副大臣に引き渡し書が手渡され、『せきりゅう』は国(防衛省)のものへ。この時、同艦に掲げられていた社旗が降ろされた。続く自衛艦旗授与式で、呉音楽隊の演奏のもと横須賀音楽隊の中川麻梨子海士長が『海のさきもり』を歌う中、若宮防衛副大臣が同艦艦長の渡邊正裕2等海佐に自衛艦旗を授与。渡邊艦長から副長へと自衛艦旗が渡ると、「乗組員乗艦!」の号令とともに、左手で自衛艦旗を高らかに掲げた副長を先頭に、乗員が次々とラッタルを渡り、艦へと向かった。最後に、渡邊艦長をはじめ若宮防衛副大臣ら防衛省関係者ら7名が乗艦し、国歌演奏とともに艦尾に自衛艦旗が掲げられた。この瞬間、『せきりゅう』は、すでに活躍している日本の海の守護神たちの仲間となった。
その後、若宮防衛副大臣らが同艦艦内を視察、現状報告を受けて、一連の式典が終了した。
『せきりゅう』は『そうりゅう』型の8番艦で、長さ84・0m、基準排水量2,950トン、速力20ノット。船体に超高張力網を使用するほかスターリング機関の搭載、高性能ソナーの装備など、水中運動性能、潜航性能、捜索能力、ステルス性能の向上が図られている。
同日14時30分、『せきりゅう』は多くの関係者に見守られる中、出港=写真=。海上自衛隊呉基地の第1潜水隊群第5潜水隊に編成され、即応体制に入る。なお、『せきりゅう』の名は、南方を守る神聖な龍・赤龍に由来するそうだ。
阪神基地隊基地モニター
文・伊藤 理恵
撮影・塚田 義博 |