【市民の不安をあおる維新の会のチラシ】
先々月の3月の話ですが、大阪維新の会のチラシが配られており、「堺をとりまく現状は…」という大見出しの中で、「堺の借金は増えるばかり?!」「5年間で1,000億円増加!つけは次世代へ…」と書かれていた。
そして、「借金増えてるし…堺このままで大丈夫なんかなあ…」とつぶやくマンガも書かれていた。
子や孫にツケをまわしたくない、負担を押し付けたくないと思うのは当然。また、秋の市長選挙に向けて、事実を正確に知りたい、そして、市民の皆様に伝えないといけないと思い取材を始めた。
そして、感じたことは、維新の会のチラシの内容は、事実に基づく正確な評価を市民に示しておらず、いたずらに市民の不安をあおる内容ではないかということ。なぜならば、チラシの堺市の借金残高のグラフは、臨時財政対策債(臨財債)という堺市が国の肩代わりをしている借金(もちろん国が返済する)を含んでおり、そのことには一言も触れていないからだ。
【堺市の借金残高は横ばい、貯金は増加】
堺市の借金や財政状況を見る場合、前提として、堺市の借金には大きく分けて2つあるということを理解しておくことが大切。一つは堺市が返済する借金、もう一つは国が返済する借金(臨財債)。そして、堺市の財政が健全かどうかは、臨財債を除く借金残高で評価するということ。
これは堺市が毎年東京で行う、銀行や証券会社など投資家に対する説明会(IR説明会)で用いられるプレゼンテーション資料を見ても明らかといえる。
堺市の平成28年度のIR説明会プレゼン資料では、「5年間の借金残高は横ばい」、「前年度に比べて借金残高は減少」、「市民一人当たりの借金残高は20政令市中5番目に少ない」ことが分かる。加えて、「5年間の貯金は毎年増加」、「市民一人当たりの貯金残高は20政令市中6番目に多い」ということも分かった。
【国のチェック指標によると堺市の財政は健全】
また、夕張市が“自治体の破産“状態に陥ったことをきっかけに、国は都道府県や市町村の財政の健全性をチェックする指標(健全化判断比率)を示している。これは、堺市の財政が健全かどうかを事実に基づいて他市比較するのに最適な指標。
堺市のIR説明会プレゼン資料では、その指標である「実質公債費比率が20政令市中4番目に健全」、「将来負担比率が20政令市中3番目に健全」としている。維新の会のチラシは、IR説明会プレゼン資料のことには全く触れていない。
【堺市議会で堺市の財政について活発に議論】
そのような中、2月に始まった堺市議会の中で、「堺市の財政は健全なのか。将来が不安になるような財政状況なのか。竹山市長の市政運営・財政運営に問題があるのか。」など、堺市の財政について活発な議論が行われた。
3月17日、財政を所管する総務財政委員会でも井関貴史議員、上村太一議員(大阪維新の会)、吉川敏文議員、裏山正利議員(公明党)、山口典子議員、西哲史議員(ソレイユ堺)、野村友昭議員(自民党)、乾恵美子議員(共産党)により委員間討議が行われた。
【市民の不安をあおる、誤解を招く表現は慎しむべき】
委員間討議内容の概略は、「堺市の借金残高を臨財債を含む数字でグラフにすると竹山市長だけでなく誰が市長でも借金が増加する右肩上がりのグラフになる」、「臨財債は堺市でコントロールできないので市政運営とごっちゃにしてはいけない」、「借金残高は臨財債と臨財債以外の2種類で示すべき」、「堺市財政を見る場合は健全化判断比率でチェックする」、「堺市や堺市議会は市民の皆さんに分かりやすく正確に説明する責任がある」、「堺市の財政が危ないというような市民の不安をあおったり誤解を招く表現は慎んだほうがよい」などの意見だった。
今後、大阪維新の会のチラシの内容や議員の発言が変わっていくのかが大いに注目される。
【ケチで真面目な竹山市長の真骨頂】
私は最近、堺市の平成29年度予算を改めて見てみると、実質的な予算額が28年度予算額よりも減少している。普通、現職市長が選挙を戦う年の予算と言えば、色々な団体などの顔色を見ながら、大盤振る舞い、バラマキと批判されながらも、大きな予算を組むものだと言われている。
自分で自分のことをケチだという竹山市長、365日仕事をして市民の声や現場の声を聞きたいたいという真面目な竹山市長、まさに平成29年度予算額は竹山市長の真骨頂ではないか。
こんな市長に任せておけば、堺市の財政も安心に違いない。
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