次へ

竹山市長に聞く

~三期目の決意~

職員や市民に迎えられ3期目初登庁の竹山市長(中央左)
職員や市民に迎えられ3期目初登庁の竹山市長(中央左)

前回に引き続き、大阪維新の会公認候補との一騎打ちとなった堺市長選挙に勝利し、三選を果たした竹山修身市長。竹山市長に選挙戦を振り返りながら、三期目の抱負を聞いた。

 【選挙結果について】
―― 接戦となりましたが。
市長 非常に厳しい戦いでした。知事や大阪市長が全面に出てきて、なかなか相手候補の素顔が見えず、見えない敵と戦っている感覚でした。その中で私は3月6日の出馬表明以降、公務の後にタウンミーティングを幾度となく開催し、市民の皆さんに私の思いを少しずつ浸透させていったことが、今回の勝利に繋がったのだと思います。

―― 維新が「都構想隠し」をしたことで争点が分かりにくくなり、投票率の低下にもつながったのではないでしょうか。
市長 堺の将来ビジョンを描くには、都市制度をどう考えているかは非常に重要なことです。それを隠されたことで、相手候補が堺をどうしたいのかが分かりにくかったですね。私も、「都構想NO!堺はひとつ、これまでも、これからも」と訴えましたが、都構想隠しをされる中でなかなか難しかったですね。その中でも、市民の皆さんが、自由・自治都市堺の継続と発展を選択していただいたというのは、非常に意義のあることだと思います。

【維新の会によるデマ】
―― 今回、維新の会の嘘やデマによる堺市政、竹山批判が多くありました。本紙でも維新の会のチラシの嘘を特集してきましたが、市長はどう感じていましたか。
市長 今回の選挙戦では「嘘・デマと言える内容のチラシを、公党である大阪維新の会が発行している」とネットやSNSの世界のみならず、堺市議会でも話題になりました。私自身も不当に堺市を貶めるやり方には、大いに疑問を感じました。

―― 公党が発行するチラシで嘘やデマは許されないと思います。それを信じて維新候補に投票された方もいると思います。
市長 私自身、堺市がどのような取組を進め、どのように成長しているか、堺市の現実の姿を正確に市民の皆さんにお伝えしなければならないと強く感じました。

【三期目の抱負】

―― 三期目に向けた抱負、決意は。
市長 引き続き、「市民目線」「現場主義」をモットーに、全身全霊を懸けて市民の皆さんのために働きたいと思っています。そのために、政令指定都市の権限と財源をフルに活用して、子育てや教育、歴史・文化、ものづくり、そして、市民が安全・安心に暮らせるよう取り組みます。特に、マニフェストに掲げた44項目全てについて、スピード感を持ちつつ、一つひとつ着実に実現してまいります。

【子育て環境の充実】
―― マニフェストでは、子育てに力点を置かれているように感じましたが。
市長 堺は子育てしやすいまちランキングで2年連続関西1位。これを子育て日本一にしていきたいと思っています。妊娠・出産から育児、教育と切れめのない子育て支援を行い、将来の堺を担う子どもたちを安心して生み育てることができるようにすることは、堺の発展のために必要不可欠なことです。
今回のマニフェストでは、政令市初の取組として実施している3人目以降のお子さんの保育料完全無償化を、2人目以降のお子さんにまで拡充することをお約束しました。またご好評いただいているワンコイン医療費を中学3年生から高校3年生までに拡充します。
さらに学力については、小学6年生の算数(基礎)が政令市トップとなりました。放課後無料学習や小中一貫教育などの取組の成果をさらに高めていきたいと考えています。

【魅力ある堺のまちづくり】
―― まちの魅力を高めるための取組も色々とありましたが。
市長 堺東をはじめとした中心市街地や泉北ニュータウン、美原区黒山など、今まさに堺のまちづくりが動き出しています。堺市としてそれらを地元住民はもちろん、民間事業者や大阪府と連携してさらに加速させていきたいと思っています。
堺東では駅の高架化を進めていきます。完成はまだ先ですが、これによって人の動きが大きく変わります。ジョルノビルの建替えやフェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)の整備も進んでいます。堺東周辺の整備が進み、民間の盛り上がりもあり、駅前再開発の機が熟してきました。いよいよ着手します。堺東が大きく生まれ変わります。
泉北ニュータウンでは近大医学部と附属病院の進出を契機にした健康医療産業の集積に向けた取組、美原では大型商業施設の立地にあわせたまちづくりの推進など、堺のさらなる発展・成長に向けて、個性が輝くまちづくりを進めてまいります。

―― 百舌鳥・古市古墳群には大阪初の世界遺産を期待しています。
市長 もちろん。世界の方々に仁徳さんをはじめ百舌鳥古墳群の雄大な姿、尊厳を感じてほしいですね。来られた方が満足して、また来たいと思ってもらえるように、周辺もしっかりと整備しなければなりません。まずは、世界文化遺産登録に向けて、大阪府、羽曳野市、藤井寺市としっかり連携して取り組んでいきます。
選挙戦の疲れも見せずに、堺の将来にかける熱い思いを語ってくれた竹山市長。益々の活躍に期待したい。


社説

進展するベトナムとの防衛交流

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

先月筆者は、ベトナムを訪問する機会を得ました。堺ジャーナル主催者の加藤先生が「日越関係」構築の先駆者であることは読者もご存じの通りです。
 ベトナムは世界有数の親日国で、日本にとって生産拠点や市場としての魅力にあふれる国で、特に近年の経済発展に伴い日越経済関係は急速に進展しています。過去五年間のODA援助額は、ベトナムが受け取る援助総額の三五パーセントを占め、日本にとって第一位のODA供給国になりました。日本からの投資額も韓国についで第二位です。ベトナムは日本にとって「アジアの平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」の国として位置づけられているのです。
 経済関係に加え、防衛・安全保障関係の強化も、もう一つの大きな柱として位置づけられるようになりました。二〇一一年一〇月の「防衛交流・協力に関する覚書」を契機として、自衛隊とベトナムの防衛関係は緊密化しています。
 特に昨年四月にはベトナム中部のカムラン国際港に海自護衛艦が初寄港し、今年の五月にはヘリ搭載護衛艦「いずも」が寄港しました。
 両国の防衛交流が急速に進展した背景には、「中国とどう向き合うか」という戦略的利益が共有できるためであることは言うまでもありません。
 ベトナムにとって中国は、歴史上常に最大の脅威でした。一九七四年には西沙諸島を巡る中越武力衝突により同島を占領され、一九七九年には中越戦争、一九八八年には南沙諸島を巡る中越武力衝突で南沙の六礁を中国に占領されてしまいました。
 しかしその反面、中国はベトナムにとって最大の貿易国であり、共産党という同じ政治システムを有する国でもあります。
 このように、中国とは微妙な関係があることから、日本のような第三国に対しては、「ベトナムにとって中国は脅威だ」とは決して公言しませんでした。それが四年前、筆者が統合幕僚学校長としてベトナム軍高官の表敬を受けた際、「日本と一緒に中国に対応したい」と言ったことが印象深く記憶に残っています。
 最近米国も、南シナ海問題解決のためのASEANにおける重要国、としてベトナムを位置づけだしました。今月ベトナムで行われるトランプ大統領も出席するAPECが注目されます。