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安心して産み育てられるまち

「堺は日本一を目指す 政府があと追い」

加 藤 均 恒例 新春放談
〝新年号の日本〟でスタートする二〇一八年。国をあげて喜びの声が高まるなかで、いよいよ「三期目の成果が期待される」竹山修身・堺市長と、ベトナムへユニークな支援を続ける特定非営利活動法人 日越堺友好協会・堺国際交流協会の加藤均・理事長との新春対談。佐藤一段・政治経済評論家の司会で、イヌ年の正月らしく、元気よく語り合った。
堺の「今年」を語り合う竹山修身堺市長(中央)、加藤均理事長(右)、佐藤一段政治経済評論家(左)
堺の「今年」を語り合う竹山修身堺市長(中央)、加藤均理事長(右)、佐藤一段政治経済評論家(左)

ベトナム国交樹立45周年に艦艇来堺
加藤均日越堺友好協会理事長の熱意

佐藤  それでは、恒例によりまして、ご両人から「新春に目指すもの」。今年は「何に取り組み、どんな成果を得よう」とするのか。
 まず竹山市長さんから、始めて下さい。
竹山

 堺は歴史や文化のまち。その強みをいかした街づくりをしていきます。
 とくに仁徳天皇陵古墳をはじめとする百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産の国内推薦を得られましたので、来年のユネスコの登録をめざして、市民の皆さんと、いっしょになって取組をしっかりやっていく心がまえです。
佐藤
 加藤さん、どんな年になりますか。
加藤
 今年は、日越国交樹立45周年を迎えます。
 そしてわれわれの堺のまちにベトナム総領事館が移転されて、ちょうど10周年の年になります。
 すでに神奈川県では、「ベトナムフェスタ in 神奈川」というイベントが開かれて、たいへん人気が高まっているのですが、日本側もベトナムのホーチミンまで行って日本フェスティバルを開き、あちらの方々に、日本への理解を深めて頂くようつとめているのです。
 この催しは、とても集客力があるのに、まだ関西ではどこもやっていません。ぜひ堺で、「ベトナムフェスティバル IN 堺」を開催してみては…。
 在ベトナム日本国大使館 梅田邦夫特命全権大使も非常に関心を持っておられるようで、外務省も協力していただけるでしょう。

佐藤  竹山市長さん、それでは、ベトナムについてのご感想は?

領事館が堺に来て10年に
竹山市政がホップ・ステップ・ジャンプ

竹山  堺というまちは、歴史的にも海外と縁の深い土地柄です。
 総領事館ができて、本当に密接な関係を結ばせていただいております。
 文化や経済、そして教育など、『堺・アセアンウィーク』の中でも、ベトナムが力を入れてやっていただいているのは、感謝の至りです。
 歴代の総領事さんも、ぜひこの友好関係を姉妹都市関係にまで発展させたいということを言って頂き、我々も姉妹都市の実現を願っているところです。
 前総領事チャン・ドウック・ビンさんもその点は心残りだったでしょうが、新しい総領事ヴー・トゥアン・ハイさんのもとで姉妹都市をどう仕上げていくか、練り上げていきたいと思っています。
加藤  ちょっとご報告が遅れておりますが、さきほどサン前国家主席が来られたとき、カントー市の委員長、いわゆる市長さんも来ておられまして、その時、カントー市の大学の学長さんが、ぜひ堺市の友好協会と姉妹提携をしてほしいと言われまして…。
 カントー市というのは、人口250万人、政令市で特別市のひとつ。ハノイ、ダナン、ホーチミンと並ぶ存在。
 そんな地方自治体と姉妹関係を結びたいというのは、民間交流のいい面が出ていると思い、私どもは今、総領事館とともに考えております。
(次頁へ続く)


社説

改めて芦田修正について考える

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 新年おめでとうございます。昨年は「北」という漢字が選ばれたように、北朝鮮のミサイルと核実験が世間を騒がせた年でした。この情勢下、今年は憲法改正の議論が活発化することが予想されます。今回は、そもそも日本政府が憲法九条をどう解釈してきたかについて考えてみます。
 憲法九条第二項の「前項の目的を達するため」の文言が「芦田修正」といわれることは、皆様ご承知の通りです。第一項の「国権の発動たる戦争」「武力による威嚇」「武力の行使」などのための「戦力」は保持しない、と読み込むための修正です。
 昭和三十二年十二月五日、内閣に設けられた憲法調査会において、芦田氏はこの事実を初めて公表しました。「私は一つの含蓄をもってこの修正を提案したのであります。これを挿入することによって原案では無条件に戦力を保持しないとあったものが一定の条件の下に武力を持たないということになります。・・・したがって、この修正があっても第九条の内容には変化がないという議論は明らかに誤りであります」
 つまり自衛のための軍隊は「第二項の『戦力』とは別」と読み込めるよう意図をもってこの文言を入れた、と明言されたのです。
 ところが、日本政府は今日に至るまで一貫して、憲法九条解釈にこの芦田修正の立場をとっていません。第二項の「戦力」は「全ての戦力」であり、それを日本は保持しない、と解釈しているのです。
 このように解釈せざるを得なかった理由の一つには、昭和二十九年に自衛隊創設のため「防衛二法」を作る段階では、芦田修正の意味が公式に説明されていなかったからと考えられます。
 日本政府は、憲法九条第一項で我が国固有の自衛権は否定されていない、したがって自衛のための「必要最小限度の実力行使」は許されると解釈し、自衛隊を作ったのです。
 「必要最小限度」とは、他国の領土領海領空では戦わない。そこを攻撃できる弾道ミサイルや攻撃型空母のような兵器は保有しないという考え方です。今の「自衛隊」を、「戦力」とは別の「自衛力」と位置付けているのです。
 安倍総理がいう、第三項に「自衛隊」を明記するという考え方は、現行政府解釈に極めて忠実な方法論なのです。