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第16回ホイアン日本祭り
ベトナムで堺をPR

堺の文化を紹介するブース
堺の文化を紹介するブース

 8月17日から19日の3日間、ベトナム社会主義共和国のホイアン市で「第16回ホイアン日本祭り」が盛大に開催された。
 同祭りは日本とベトナムの友好親善推進を目的に毎年開かれており、2014年の第12回は堺市で開催された。
 期間中は日本人投資家を招いたセミナーや各種パフォーマンス、文化体験、日本とベトナムの遊びコーナーなど、日本とベトナムの文化交流を活発にし、両国の関係を発展させることを目的とした多くの催しが行われた。例年はホイアン市単独開催だが、今年は日越国交樹立45周年の記念としてクアンナム省、在ベトナム日本国大使館、ホイアン市の共催となった。
 期間中、交流が盛んな堺市を紹介するブースが「伝統産業品のPR展示」として設置、堺市の職員1名とホイアン市職員が運営した。注染製品(手ぬぐい、コースター、アロハシャツ、浴衣)、線香(各種線香、お香たて)、堺打ち刃物(包丁、爪切り、はさみ、ポケットセクレタリ)などの堺の伝統産業品や堺Tシャツ等が展示された。(伝統産業品に関するものはすべて堺市産業振興センター提供)展示物の中では、線香と注染製品と包丁が特に人気が高く、多くのホイアン市民やホイアンへの観光客が興味を持っていた。

日越堺友好協会 加藤均理事長はベトナム人に守り続けられている具足家の墓を参った
日越堺友好協会 加藤均理事長はベトナム人に守り続けられている具足家の墓を参った

また、堺市をPRする、堺市観光マップ、仁徳天皇陵、伸庵、刃物、自転車、博物館、山口家住宅、アクセス図等のポスターを展示した。
さらに、一部ベトナム語翻訳したものをセットにした堺観光ガイドブック、百舌鳥古市古墳群、堺伝統産業(お香、自転車、打刃物、和晒浴衣、五月鯉のぼり、昆布、緞通・敷物)に関するパンフレット、茶道と打ち刃物をモチーフとした堺うちわ(堺観光コンベンション協会提供)が配布された。
 スタッフとして運営にあたった市職員は「昨年は夕方から大雨となった日が一日有りましたが、今年は3日間ともほぼ晴天に恵まれ、出展期間中、大変多くの皆様にお越しいただき堺の文化や歴史を伝える事ができました」と話した。
 ベトナム政府からの依頼を受け、同イベントを初回から支援している特定非営利活動法人 堺国際交流協会・日越堺友好協会(加藤均理事長)も堺市とともに同まつりに参加した。

堺ブースには連日多くの人が訪れた
堺ブースには連日多くの人が訪れた

ベトナム軍艦
堺に初入港

竹山市長(右)を表敬したアイン国防武官(右から3人目)
竹山市長(右)を表敬したアイン国防武官(右から3人目)

 10月3日、ベトナム社会主義共和国の軍艦「チャン・フン・ダオ」が堺泉北港に入港する事が決まった。
 これは護衛艦いせ、潜水艦救難艦ちはや後援会の加藤均会長が日越国交樹立45周年、在大阪ベトナム総領事館の堺移転10周年の記念事業として企画したもので、防衛省統合幕僚長 河野克俊海将の挨拶文を手に、昨年8月、ハイフォン市でベトナム人民海軍副司令との会談をきっかけに実現したもの。
 在日ベトナム社会主義共和国大使館から国防武官 ヴー・コック・アイン陸軍大佐が9月4日、堺を訪れ、防衛省海上自衛隊海上幕僚監部の後藤誠司1等海佐、加藤均会長らと具体的な打ち合わせを行った。その後、竹山修身堺市長を表敬訪問した。竹山市長は「ベトナムの軍艦の堺入港を光栄に思います。市民の皆さんとともに歓迎したい」と話し、アイン国防武官は「ベトナムの軍艦が日本をはじめアジア諸国を訪問するのは初めてのこと。成功に向け皆さんと協力して成功に導きたい」と話した。
 入港時、特定非営利活動法人 日越堺友好協会が主催する歓迎式典には呉地方総監 池太郎海将も出席し、呉音楽隊が歓迎の演奏を行い花を添える。


戦略的情報発信をした海自

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 先月十七日、海上自衛隊は南シナ海で「対潜水艦戦訓練を行った」と公表しました。
 これまで海上自衛隊は対潜訓練や、潜水艦の行動については、ほとんど公表してきませんでした。それは「隠密性の確保」が潜水艦の存在意義そのものだからです。筆者も潜水艦乗りでしたが、「明日から出港する」と家をでても、「いつ帰る」とは、家族にも伝えませんでした。それにも関わらず今回公表したのは、これが「戦略的な情報発信」だったから、といえるのでしょう。
 二〇一五年四月に策定された「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」には、「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」のため、平時から緊急事態までのいかなる段階においても、「柔軟に選択される抑止措置(FDOflexible deterrent options)」をとるとうたわれています。このFDOとは、国力の各要素(外交、軍事、経済、情報)を駆使してこれを柔軟に運用することで紛争を抑止する方法論です。軍事活動としては、「訓練」や「警戒監視」、また「空母打撃群の展開・遊弋」などに加え、「適切な経路を通じた戦略的な情報発信」が有効とされています。つまり、「軍隊が動く=戦争」だけではないのです。
 また、平成二五年に日本政府が策定した「国家安全保障戦略」においても、「官邸を司令塔として、政府一体となった統一的かつ戦略的な情報発信を行う」とされています。
 これまで日本は、対外政策は外交と経済の手段しか使わなかったため、一度友好ムードになると、たとえ相手国が間違っていても、「刺激をしない」対応になりがちで、その結果国内議論も「敵か味方か」という単純なものになってしまいました。しかし、大国同士の関係とは、経済では相互依存関係にあっても、国際政治や国際法上間違っていることに対しては、堂々と行動で訴えるという、是々非々な関係にあるのです。
 中国の海洋政策が、完全な国際法違反であることは、二年前に国際仲裁裁判所が示した通りです。今や日米豪印英仏の海軍がこの誤りを行動で示し、「戦略的情報発信」をしているのです。
 その昔、自衛隊が行動するだけで問題になったことを考えると、こういった形での関与がやっと許される時代になったといえるのでしょう。