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海上自衛隊

掃海艇つのしま入港

乗員を前に歓迎の挨拶を行う加藤均会長
乗員を前に歓迎の挨拶を行う加藤均会長

 5月18日、大阪港に掃海艇つのしま(基準排水量510トン、長さ54メートル、幅9.4メートル、深さ4.2メートル、喫水3.0メートル、乗員約40名)が入港、一般公開が行われた。
 入港歓迎セレモニーで、第42掃海隊後援会会長(本部 堺区)の加藤均会長(護衛艦いせ後援会・潜水艦救難艦ちはや後援会 会長)は「村川豊前海上幕僚長が自衛隊員を激励した時『私たちが国を守らずに、誰がこの国を守るのですか』という若い隊員の言葉に感銘を受けられたということを聞きました。私もそのような熱い想いを胸に、これからも自衛隊をサポートする活動を続けながら、一人でも多くの方が国防の大切を理解していただけるよう力を注ぎたい」と挨拶を行った。
 阪神基地隊(司令 深谷克郎 1等海佐)に所属する掃海艇「つのしま」と「なおしま」で編成される第42掃海隊は、主に大阪港及び紀伊水道などにおける警戒監視、爆発性危険物の処理等の任務に従事しており、自治体等主催の防災訓練への参加及び体験航海等の業務を行っている。

大阪港に入港する掃海艇「つのしま」
大阪港に入港する掃海艇「つのしま」

投稿

「平成」から
「令和」へ

 (前回からの続き)経済同友会前代表幹事の小林喜光氏の言である「敗北の時代」。彼はまだ日本人はぬるい心地よい「ゆでガエル」の状態で、その意識が薄いなか生きているのではないかと言う。今、東大阪の中小企業では低収益のなか、以前とは逆に中国の下請けと化し、低価格で受注しつつあるようだ。
 世界の先頭からかなり遅れているが、5G ・人口知能のソフト開発の急展開のなか、日本はハードなものづくりとの連動性で、最後の挽回の余地もあるという。フィギュア、野球、卓球、サッカーなどスポーツ分野での超若手選手の台頭も希望の光のように感じる。「はやぶさ1・2」の泣けるような、けなげな探索活動はなにより素晴らしいものだ。
 引退表明したイチローの東京での最後の試合で、ダッグアウトの彼の厳しい表情を垣間見た。このような顔をしたサムライのような日本人がまだいたのかと驚く。彼は、米国の力任せの雑な野球でなく、データと知恵を駆使する独自の日本野球を追及していくべきだと語っている。国民栄誉賞をまたも辞退したが、彼の面目躍如たるものだろう。
 元号も「令和」となるが、「令」を辞書で引くと別の意味も記載されている。上皇陛下は憲法を尊重し、慰霊と巡礼の旅を続けられたが、(韓国訪問は果たせなかった)。昭和天皇との間で、戦争の過去の承継はあったのではないか言われる(評論家 田原総一郎氏)。また上皇陛下、上皇后陛下は皇太子時代、名も無い町で若者たちと車座になり、何年もかけて予定時間を越える話し合いをもたれていたことが最近明らかになった。新天皇は何を引き継がれていくのだろうか。「平成」の「書」はやや文字の線が細かったが、「令和」はほどほどの太さである。
 新しい時代を迎えて、堺も百舌鳥古市古墳群のユネスコ世界遺産登録を控える。また、よく知られた名称の「フェニックス」通りに、言いにくい「フェニーチェ堺」という市民芸術文化ホールが十月にオープンする。
 「令和」の時代も確実に大衆が創っていくはずである。
了 二〇一九年五月十四日
鎌苅一身
(一心堂書店・湊駅前)

社説

なぜイランに米空母を派遣したのか

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 米国はイラン周辺地域に空母などを派遣して軍事圧力を強めています。短距離弾道ミサイルをペルシャ湾上のイラン海軍艦船に移載したのが理由と報じられましたが、その背景には一年前の「イラン核合意」からの離脱があるのでしょう。
 「イラン核合意」とは、四年前に当時のオバマ政権が、英仏独露中とともに、イランとの間で結んだものでした。「イランが核開発を大幅に制限する代わりに、関係国は制裁を解除する」というものです。しかしこれはイランが「既に保有している濃縮ウランなどを現状維持」することで、「これ以上の開発は阻止する」という方法で、トランプ政権は、将来の核兵器獲得を止められない「最悪の合意」として離脱、制裁を段階的に再開しました。
 米国は、昨年八月自動車や鉄鋼などの分野で制裁を発動、十一月にはイラン産原油などの輸入禁止、イランの中央銀行などとの金融取引禁止の制裁も課しました。日本など八つの国と地域は、一八〇日間に限り原油輸入の「制裁適用除外」が認められましたが、これも先月五月二日に期限となり、イランからの原油輸入は、全ての国で禁止となりました。国家収入の三分の一を占める原油が売れなくなり、金融制裁によって外国との貿易決済もイランは事実上できなくなりました。若者の失業率は三〇%を越え、イラン政府に対するデモも頻発しています。
 実はその一方で、イラン原油の約四分の一を占める最大の輸出先である中国は、「人民元を介した取引」や「中国製品とイラン原油の物々交換」により、今後もイランからの輸入を続ける可能性があります。ここでも中国の存在感が見え隠れするのです。
 五月八日、イランのロウハニ大統領は、「濃縮ウランと重水を国外に運び出す義務に今後は従わない。」「英仏独との間で六〇日以内に交渉し、不調に終わった場合、高濃度濃縮ウランの製造を再開する」と発表しました。
 ポンペイオ米国務長官は「イランの指導部から財源を奪い、普通の国としてふるまわせることが目的」と述べています。「核開発の完全停止」「弾道ミサイルの開発阻止」「シリア等からのイラン軍撤去」を求め、イラン指導部に強い圧力をかけることで、「新たな合意」を結びたいと米国は考えているのです。