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河野克俊元統合幕僚長が 堺で講演
第322回経営懇話会

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 2月12日ホテル・アゴーラリージェンシー堺において、堺経営者協会(西村 隆会長)主催の下、第322回経営懇話会が開催された。「今後の我が国の安全保障と自衛隊」をテーマとし、河野克俊第5代統合幕僚長が講師を務めた。
 冒頭挨拶で同協会当番幹事の加藤均氏が「皆様が自国防衛、自衛隊の大切さを少しでも理解していただけば幸いです」と述べ、講演の中で河野氏は「我が国の安全保障において重要な問題は、短期的には北朝鮮、長期的には中国の海洋進出である。解決の鍵は日米同盟であるが、その規定には不平等な点がみられる。同同盟を基にした日米関係の強化を推し進め、我が国の国防体制を見直すべきだ」と語り、周辺国をめぐる海洋安保の重要性を強調した。=写真=


堺唯一の航空会社
『災害時の行政連携に期待』
第一航空株式会社

 堺市唯一の航空会社である第一航空株式会社は、港南グループの会社として遊覧飛行、航空写真などを主な事業としている。最近、観光ツアーの一環として遊覧飛行をプレゼントとする人々も増え、世界遺産となった「百舌鳥・古市古墳群」を上空から眺めるツアーがふるさと納税の返礼品としても注目されている。代表の西洞院満寿美氏は「災害時の物資輸送にはヘリコプターを使用することもできる。騒音や着陸地の問題点などはあるが、緊急着陸地だけでも確保できれば動くことが可能。堺唯一の航空会社として、航空を通じた事業にはフットワークを軽くして何でも挑戦し、定期便の運行や海外を視野に入れた事業展開も回っていきたい」と語った。同社は大阪・広島を拠点とし、ヘリコプターと小型飛行機を約10機保有している。今後は、これらを運用した古墳関連事業や防災面での行政との連携に期待が持たれる。

自社ヘリコプターの前で。(左から木田準一社長、西洞院満寿美代表取締役、加藤均氏)
自社ヘリコプターの前で。(左から木田準一社長、西洞院満寿美代表取締役、加藤均氏)

交流の蕾
ベトナムで花開く

ベトナムで開花した日本桜の蕾
ベトナムで開花した日本桜の蕾
 両国の友情の証として、日本の伝統・文化をベトナムに紹介する桜の植栽活動は、特定非営利活動法人日越堺友好協会(加藤均理事長)とビンディン省の交流事業の一環として続けられている。
 昨年末、想いが実りその蕾がようやく開花した。ベトナムでは日本の桜が生育している地域はあるものの、健全な生育ではなく何とか生存しているといった状況であるものもみられる。気候条件など生育環境の違いから、品種によっては生育自体が困難であるとされる。
 ベトナムにおいて桜を栽培する場合には、水捌けが良く肥沃な土壌を整備し、低温要求が少ない品種を選ぶこととなるため、同協会は「日本花の会」との連携の下、ベトナムから技術者を日本に派遣及びその栽培技術を提供し、日本の桜およそ200種類の中から「大島桜」や「大寒桜」、「大漁桜」など5種類を選定し200本の苗木を植えた。今後は、2000本の植栽を目指し、ベトナムで花見を楽しめる規模まで拡大する計画である。

5周年
さかい利晶の杜
記念イベントを開催

 千利休と与謝野晶子を顕彰し、歴史文化など堺の魅力を発信してきた『さかい利晶の杜』が、3月20日で5周年を迎える。開館以来160万人以上が訪れている同館では様々な記念イベントを開催している。 
常設展「晶子が孫に贈ったお雛様と晶子自筆歌掛軸」(16日まで)、「千利休画像 喜多武清画 大綱宗彦賛」(4月20日まで)、「晶子最晩年の百首屏風」(18日~4月20日)
企画展「千年の宇宙―手のひらの中の宇宙 宇宙の中の人類―」(22日まで)。宇宙飛行士・土井隆雄と陶芸家・樂直入(らくじきにゅう)、それぞれの「宇宙」を紹介
イベント スプリングフェスタ(22日)。堺を代表するお店や体験ブースなどが大集合


社説
病院船について考える

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 先月、新型コロナウイルスの脅威に対応する目的で、病院船建造について予算委員会で議論がなされました。太平洋側と日本海側に一隻ずつ配備する案が示され、加藤厚労相は「加速的に検討していく必要がある」と応じました。
 病院船とは、そもそも戦時において負傷兵を治療するための艦船で、基本的に海軍が保有し、国際法上、有事の際にも攻撃目標から外すことが定められている存在です。米海軍はベッドが千床。十二の手術室を有する病院船を二隻保有しています。
 ところが負傷兵の輸送手段が豊富になったことから、実戦に参加することが少なくなりました。今は主として途上国を中心に寄港し、医療サービスを無償で提供する活動に従事しています。つまり米国の外交政策を担う役割を果たしているのです。この活動の一つにパシフィック・パートナーシップという国際協力プログラムがあり、自衛隊も輸送艦や医官などを毎年派遣しています。
 一方、二〇一三年に内閣府が試算を発表しましたが、十の手術台を備え、五百人の患者を収容する病院船を新たに建造するとなると一隻三百億円、二隻だと六百億から七百億円がかかる結果になりました。さらに毎年維持費が二隻で五十億と、かなり高額なものになります。民間では無理だから、やはり自衛隊でということになります。
 しかし、「災害派遣以外の運用は?」、「今でも自衛官が足らないのにどうするの?」など自衛隊が担当するとしても、解決しなければならない問題が山積みということになってしまうのです。
 また、これまで政府が想定している災害発生時の医療支援は外科的なものです。例えば『いずも』には手術室が一室しかありませんから、陸自の野外手術システムという車両を搭載して、地震などで負傷された国民の治療を行ってきました。今回のような感染症患者を治療することは基本的に想定外だったといえましょう。
 能力から言えば、『いずも』などに患者を受け入れることは可能ですが、隊員が罹患するリスクと、自衛隊の本来任務への影響との兼ね合いの中、決断すべき事案ということになるのです。