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『夢と希望 人々のために働く

~人生100年を目指して~』
第170回CS研究会 加藤均氏講演

講演で「夢と希望」を語る加藤均会長
講演で「夢と希望」を語る加藤均会長

 7月22日、中央電気倶楽部(大阪市北区)において、株式会社カナオカ機材主催の下、在阪企業関係者らなど約100名が出席し、第170回CS研究会が開催された。開会挨拶は同社会長の金岡重雄氏が務め、「現在、全国では新型コロナウイルスの影響により多くの企業が困難な状況に陥っていますが、皆様には、今一度奮起していただき、コロナウイルスに負けないという気持ちで、経済を盛り上げていただきたいと思っております。本日講演される加藤均氏は私が最も尊敬する人物であります。世のため人のために尽力され続けてきた加藤均氏の言葉から、その魂を感じ取っていただければと思います」と述べた。同会では、「夢と希望 人々のために働く ~人生100年を目指して~」とする演題の中、株式会社加藤均総合事務所代表取締役会長の加藤均氏が講演を行った。加藤均氏は講演の中で、「その昔、父から『困難に立ち向かうとき、悩んではいけない。ひたすらに努力することだ』と教えられました。90歳まで私がこうしてあり続けたことは、父の言葉を教訓に『一生勉強、一生青春』ということを指針としてきたからであると考えています。

開会の挨拶を行う
金岡重雄会長
開会の挨拶を行う
金岡重雄会長
 私はこれまで44年間、堺市議会議員として務めてまいりました。当時のいわゆる〝お役所天国〟ともいえる状況を改善すべく様々な行政改革を提案しましたが、当初は支援者の方々や市職員の方々からの理解が得られないこともあり、多くの壁に当たることもありました。こうした中、何よりも大事であったことは、『信念を貫く姿勢』を持ち続けることでありました。最終的には皆様の理解を得られ、市職員及び組織の再整備、財源の調整など大幅な改革を成すことができました。
 議員として、市、府、県、ひいては日本を良くしようと思うならば、地方議員及び国会議員らが、全て同じ土俵で議論ができるものであるべきだと考えます。地方議員のレベルを上げることは日本を良くすることであり、これは市民の皆様との連携により成し得ることであります。皆様には、是非、地方議員とともに目標設定を行っていただき、議員自身の成長の後押しをしていただければ幸いです」と話し、続けて「また、私には人生のライフワークともいうべき夢があります。それは、自国防衛の精神と国際交流です。最後に日本を守ることができるのは日本人のみです。有事の際、アメリカは力を貸してくれるかもしれませんが、全面的に守ってくれるわけではありません。ミサイルの配備や自衛隊の能力増強については様々な議論がありますが、これらは全て自国防衛のためのものであり、あくまでも、攻撃を受けた際に対応するためのものであります。日本からすすんで武力を行使するためのものではありません。諸外国とのパワーバランスを保ちつつ、いざという時のための『防衛力』を身につけることは必要不可欠であります。
 さらに、平和の基本は互いの文化の違いを理解しなければならないということです。特に、ベトナムとの交流には注力しており、水産業の支援並びにニシキゴイ水族館の建設及び桜の植栽事業などの観光産業をはじめ様々な交流事業を行っています。今後も、更なる国際交流に歩を進めるとともに、自国防衛の精神を皆様にご理解していただけるよう、邁進する所存でございます」と述べ、会場からは大きな拍手が送られた。

社説

敵基地能力の英訳が持つ意味

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 イージスアショア配備計画が事実上廃止され、八月初旬自民党は「国民を守るための抑止力向上に関する提言」を提出しました。「敵基地攻撃能力」の取り扱いが注目されましたが、これを外国メディアは、「先制(preemptive)行動」能力と英訳してきたことをご存じですか。
 安全保障上「先制行動」は、「差し迫った脅威」から自己防衛するための合法的措置として国際法上も認められている行動です。一方これに似て非なるものに、「予防(preventive)戦争」があります。これは残念ながら帝国海軍が行った真珠湾攻撃が一例としてとりあげられるように、「潜在的」敵国はまだ戦争準備をしていないが、その脅威を予防的に排除するために攻撃するもので、国際法上違法な行動です。
 二〇〇一年、筆者が在米国防衛駐在官当時、米国同時多発テロがおきました。ブッシュ大統領は、「『潜在的』な攻撃者に反応的に行動するだけでは、リスクが大きい。防衛のためには『先制行動』をとる必要がある」として「ブッシュドクトリン」を掲げました。これは「潜在的脅威に対する先制行動」すなわち違法な「予防戦争」の色合いが強い「先制行動」を正当化したと受け止められ、今でも米国内外で批判的な意見が大勢を占めるドクトリンになってしまったのです。
 「敵基地攻撃」をめぐる日本政府の国会答弁は、「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは、どうしても考えられない(鳩山一郎首相)」「(ミサイルに)燃料を注入し始めて準備行動を始めたような場合は(攻撃の)着手というのではないか(石破茂防衛庁長官)」というものです。あきらかに国際法上合法な「先制行動」を述べています。当然「予防外交」的な「先制行動」を日本政府が行うことはありません。しかし「先制攻撃」と英訳されると、「日本はブッシュドクトリン的行動をとるのか?」と国際的には誤解を生んできたのです。
 今回の自民党の提言では初めて用語を替え、「相手領域内でも弾道ミサイル等を『阻止』する能力の保有」としました。その結果、これを外国メディアは「intercept」「block」「halt」などと訳し、「先制」に該当する英訳はしなかったのです。