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在大阪・神戸インド総領事が堺を訪問

アフターコロナでの国際交流に向けて

B.シャム総領事(中央)と柳田紀美子氏(左)、加藤均理事長(右)
B.シャム総領事(中央)と柳田紀美子氏(左)、加藤均理事長(右)

 3月30日、在大阪・神戸インド総領事館のB.シャム総領事は、特定非営利活動法人 堺国際交流協会の加藤均氏を訪問した。8月に堺市役所内において開催予定の「インド独立75周年記念写真展」(仮)に関する話し合いのほか、アフターコロナを見据えた日印の交流事業などについて協議を行った。
B.シャム総領事は「いつも日印の交流事業促進にご協力いただきありがとうございます。今年から2023年にかけては、インド独立75周年であると同時に、2022年は日印国交樹立70周年記念の年でもあります。コロナ禍において困難な部分は多いですが、今後はこの二つを融合したイベントを開催していきたいと考えています。まず、今年の8月には、堺市役所において『インド独立75周年記念写真展』(仮)の開催が予定されています。現在はイベント会社との打ち合わせを重ね、独立から憲法制定、コロナ社会までの歴史を辿り、インド独立のストーリーを感じていただけるようなものを企画しています」と述べた。
これに対して加藤均氏は「インド独立75周年記念おめでとうございます。今後も日印の交流事業は是非続けていきたいと考えています。堺には145校の小中、特別支援学校がありますが、インドの子どもたちとの絵画交流などはいかがでしょうか。コロナの勢いは未だ衰えませんが、文化を止めないためにもできる限りの協力をいたします」と述べ、文化交流促進について意見交換を行った。

インド舞踊や
古典音楽が再び堺に

同席したインド舞踊家の柳田紀美子氏との会談では、11月に堺で開催予定のインド古典音楽及び舞踊イベントに対する意見交換が行われた。
B.シャム総領事は「コロナの影響により、インドから舞踊家や音楽家を招待することは非常に困難です。しかし、日本国内のアーティストによるイベントであれば現実的であり素晴らしいと思います。日印の文化交流促進のためにも是非成功させてください」と協力姿勢を示した。

泉佐野市長を
表敬訪問

4月16日、在大阪・神戸インド総領事館のB.シャム総領事は特定非営利活動法人堺国際交流協会の加藤均理事長とともに泉佐野市を訪れ、千代松大耕市長を表敬訪問した。会談の中で、経済・文化交流事業などについて意見交換が行われた。
シャム総領事は「企業間の交流など経済関連の連携を」と協力を求め、 千代松市長は「良好な友好関係を築き、お互いが発展できるよう取り組んでいきたい」と応えた。
加藤均理事長は泉佐野市の特別顧問を務めており、国際交流事業などにおいて協力を続けている。

千代松泉佐野市長(左)を表敬訪問した
千代松泉佐野市長(左)を表敬訪問した

泉北ニュータウン
ICTで活性化

 堺市は、大阪府と連携し、泉北ニュータウン地域を重点地域とし、スマートシティを推進する「SMART SENBOKU PROJECT」を創設する。企業や大学も共同で取り組む。
 大阪府が策定している「大阪スマートシティ戦略」でも、泉北ニュータウン地域を府域におけるスマートシティ推進の実証・実装を進める地域としている。
 同市では、これまでスマートシティの推進に向け、「スマートシティ戦略」の策定を進めるなど、ICTを活用し、泉北ニュータウン地域の市民の暮らしの質の向上や地域の高齢化、住宅の老朽化など様々な課題の解決をめざす取り組みを進めてきた。
 企業や大学が共同で取り組むこのプロジェクトは介護予防、認知症予防などの「ヘルスケア」、オンデマンド交通などの「モビリティ」、「コミュニティ」、「リモートワーク」、「エネルギー」など各分野にICTを取り入れる。泉北ニュータウン地域の「住み良いまち」としての発展が期待されている。

社説

経済安全保障について考える

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 LINEの個人情報が中国で閲覧状態になっていた問題が発覚以来、「経済安全保障」という用語がマスコミで頻繁に取り扱われるようになりました。
 日本はこれまでも総合安全保障を提唱しており、防衛・外交・政治に加え経済・金融も安全保障を形成することは良く知られており、ODAなどはその最たるものでした。しかし昨今登場してきた「経済安保」はこれとは一線を画すもので、「経済を使った防衛力」といってよい、別次元の概念なのです。
 これを最初に概念づけたのは中国でした。一九九八年、著作「超限戦」に代表される軍事力以外も使う新たな戦争遂行概念を作りあげたのです。他国を借金漬けにして、その港の使用権を強奪するといったニュースがありましたが、「一帯一路」政策の裏には「経済安保」の観点があったと見られています。
 日本においても、二〇一〇年尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に意図的に衝突し、船長を逮捕する事件がありましたが、中国が対抗策として「レアアース」の輸出禁止をしてきたことは記憶に新しいと思います。正にこれが中国による「経済安保」だったのです。
 トランプ米大統領の登場で、中国への関税引き上げや、ファーウェイなどへの制裁が健在化したことで、アメリカが先に「経済安保」を仕掛けたように見えますが、実はそうではないのです。軍事力の拡大も含む中国の挑戦に対し、アメリカは、多くを依存していた経済関係を断ち切ってでも、「経済」も武器として中国と戦うことを決断したのです。
 昨年四月、日本も国家安全保障局に「経済班」を開設しました。また昨年十二月には、自民党の「新国際秩序創造戦略本部」が「『経済安全保障戦略策定』に向けて」という提言を出しました。わが国しか果たせない強みを活かす「戦略的不可欠性」と、政策決定において他国から過度に干渉されず、危機においても国民生活を守る「戦略的自律性」の確保が基本的考え方になっています。
 日米二+二の共同発表で、初めて「中国」を名指したように、外交・防衛面ではアメリカと歩調を合わすことができるものの、多くの民間企業が中国に依存している現状で、経済面において日本はどう折り合いをつけていくか、これが今問われているのです。