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泉佐野市長を表敬訪問

ベトナムとの関係強化促進

 在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館 クエン・ティ・トゥイ・ハー商務部担当領事が泉佐野市の千代松大耕市長を表敬訪問した。
 ベトナム総領事館からレ・ホン・ヴァン商務部副領事、認定特定非営利活動法人 日越堺友好協会から加藤均理事長(泉佐野市特別顧問)が同席した。
 千代松市長は「市内においては、ベトナム人居住者の増加数が大きい。ベトナムに進出している企業もあり、食品コンビナートには多くの食品企業が立地している。市内企業は人材不足のため、ベトナムの人材に期待している」と語った。
ベトナム総領事館 クエン・ティ・トゥイ・ハー領事(前列右)、泉佐野市 千代松大耕市長(後列中央)、認定特定非営利活動法人日越堺友好協会 加藤均理事長(前列左)
ベトナム総領事館 クエン・ティ・トゥイ・ハー領事(前列右)、泉佐野市 千代松大耕市長(後列中央)、認定特定非営利活動法人日越堺友好協会 加藤均理事長(前列左)
 ハー領事は「関西との貿易が拡大しており、今後は、ベトナムと日本間の貿易を促進していきたい」と応えた。
 さらに千代松市長は「コロナが収束すれば、ビンディン省との交流事業(中学生派遣、職員派遣)を進めたい」と加えた。
 今後、企業紹介などの経済交流に向けた調整を行う計画。

インド独立75周年記念
「インド古典音楽と舞踊の夕べ」

 11月12日、フェニーチェ堺において、インド独立75周年を記念したイベント「インド古典音楽と舞踊の夕べ」(主催 在大阪・神戸インド総領事館、共催 特定非営利活動法人 堺国際交流協会)が開催された。
 堺市在住のオリッシィ舞踊家である柳田紀美子氏と田中峰彦氏(弦楽器シタール)、田中りこ氏(打楽器タブラ)らが出演した。
 ニキレーシュ・ギリ総領事は「本公演は西日本において、インド独立75周年を記念する最初のイベントです。このような特別な機会を、歴史ある美しいまち堺市で開催できたことを光栄に思います」と、堺市議会 池尻秀樹議長は「堺市が日本とインドの交流の輪の中心になることを嬉しく思います」とそれぞれ祝辞を述べた。
東インド古典舞踊と北インド古典音楽のコラボレーション
東インド古典舞踊と北インド古典音楽のコラボレーション
 東インドのジャガンナータ寺院に起源する古典舞踊「オリッシィ」は1000年以上、巫女による秘儀舞踊として継承されてきた。1966年にインド政府より古典舞踊として正式に認められて以降、現在世界のあらゆる都市で公演されている。
 寺院を装飾するレリーフが動き出したかのように見えることから「生きた彫刻」ともいわれているオリッシィ。
 来場者は、腰を深く構えた安定感のある姿勢と曲線美を強調した柔らかい動きと所作が特徴的な、オリッシィの雅な世界を堪能した。
 講演を終えた柳田紀美子氏は「インド独立75周年を会場の皆様とともに、この堺でお祝いできたことを大変嬉しく思います」と感想を語った。
「祈り、感謝、生きる喜び」を「オリッシィ」で表現する柳田紀美子氏
「祈り、感謝、生きる喜び」を「オリッシィ」で表現する柳田紀美子氏

社説

台湾白書グレーゾーン作戦の脅威を指摘

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 十一月九日、台湾国防部は、二〇二一年版の国防報告書(国防白書)を発表しました。隔年で公表される白書ですが、今回の特徴は、中国による「グレーゾーン作戦」の脅威を明記したことです。
 グレーゾーン作戦とは、武力攻撃と判断するのが難しい侵害行為です。サイバー攻撃や民兵組織を駆使して国家の関与を曖昧にして、米軍介入を阻止する中露の常とう手段です。二〇一四年にウクライナの政治対立の混乱に乗じ、クリミヤ半島を併合したハイブリッド戦がその一つの事例です。
 本白書では、過去一年間に延べ五五四機の中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入し、十四億回を超えるサイバー攻撃を受け、中国からの偽ニュースやメディア操作によって台湾社会が揺さぶられていると指摘しました。
 白書は、政府の各省庁が所管とする行政活動の現状や対策・展望などを国民に知らせるための報告書です。台湾の人々に対して「既にグレーゾーン作戦が仕掛けられているから騙されないで」と伝え、移ろいやすい民意に、警鐘をならしたものといえるのです。
 蔡総統は、実際にこの危うさを経験しているといってよいでしょう。蔡氏率いる民主進歩党(民進党)は二〇一六年に政権を獲得しました。しかし、中国との緊張関係が続き、その結果経済政策がうまくいかなくなり、二〇一八年の統一地方選挙で民進党は大敗、蔡総統は党首辞任に追い込まれたのです。
 ところが、二〇一九年からの香港民主化運動が中国共産党に弾圧されたことで、台湾の民意は一変しました。二〇二〇年の総統選挙で、蔡氏は歴史的得票数を得て、国民党党首に圧勝したのです。
 筆者は、トランプ大統領の登場で、アメリカの民意が分断してしまったのもロシアによる「グレーゾーン作戦」だったと考えています。言論の自由は、民主主義国家の誇りとするところですが、中露はこれを逆利用しています。今や国民一人一人が、「何がフェイクで、何がファクトか」を正しく見極める力が求められているのです。
 日本も他人ごとではありません。ワクチン一つとってもSNSなどで誤った情報がはびこっています。日本政府は国民に対し、「正しい情報を、速やかに伝える」。これが今一番求められているのです。