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 地域防災力を高める拠点

 堺市総合防災センターがオープン

―4月1日 美原区にて新しく誕生―

5つの建物と屋外訓練場で構成される「堺市総合防災センター」
5つの建物と屋外訓練場で構成される「堺市総合防災センター」

 4月1日㈮、防災に関する拠点施設として「堺市総合防災センター」(美原区阿弥129番地4)がオープンした。
 全国各地で台風や地震などの自然災害が多発しており、堺市においても南海トラフ巨大地震や上町断層帯地震等の大災害の発生が懸念される中、堺市は自助・共助・公助の連携によって地域防災力の向上を図り、災害に強いまちづくりを推進するため、防災センターを整備した。
 本施設は、消防職員や消防団員の訓練施設としてだけでなく、子どもから大人まで楽しく学びながら災害に備えることのできる、堺市初となる体験型の防災学習施設となっており、「あなたとあなたの大切な人を守るために」をコンセプトに、ガイドスタッフが案内するツアー体験コース(約1時間30分~2時間)が体験できる。
 地震体験や消火体験など、実災害に近い様々な体験を通じて、ぜひ防災について学んでほしい。

消火体験
消火体験
地震体験
地震体験

■施設概要(5つの建物と屋外訓練場で構成)
○防災啓発施設(地上2階建)
 子どもから大人まで楽しく学び、災害にしっかり備えるため、堺市初となる体験型防災学習機能を有する施設で、ガイドスタッフが案内するツアー体験コース(地震、風水害、火災等あらゆる災害について、リアルに学ぶことができる「真・体験コース」など)を実施。
○総合訓練棟(地上5階地下2階建)
 実火災訓練や煙中熱気訓練、各種救助訓練など高度な消防訓練を行う訓練施設。
○救助訓練棟(地上6階建)
 ロープ渡過やはしご登はん等、基本的な救助技術訓練を行う施設。
○水難救助訓練棟(地上2階建)
 消防活動における水難救助訓練を行う施設。
○災害活動支援棟(地上2階建)
 高度救助隊が24時間常駐する施設。
 食糧・生活必需品等の備蓄機能、支援物資の集積・配送機能を併せ持つ施設。
○屋外訓練場
 放水訓練、消防車運転技能訓練、消防団の操法訓練などの屋外訓練が可能。
■体験コース
○「真・体験コース」 約1時間30分(1日6コース・1グループ20名まで対応)
①映像による学習 ②地震体験 ③煙暗闇避難体験 ④消火体験 ⑤応急救護体験 ⑥防災情報コーナー学習
○「学校団体コース」 約2時間(最大80~100名まで対応)
①映像による学習 ②地震体験 ③防災情報コーナー学習 ④煙暗闇避難体験 ⑤消火体験 ⑥消防隊訓練見学など
※プログラムごとに個別で体験することも可能。
・水圧ドア体験(15分)・消防用設備体験(15分)・避難所等避難支援者体験(15分~30分)・救出救助訓練(30分)・備蓄倉庫見学(15分)
・避難所備蓄資器材使用訓練(30分)

堺市美原区阿弥129番地4
◎営 業 9時~17時15分
◎休館日 月曜日(祝休日の場合翌日)、第3火曜日、12月29日~1月3日 
※臨時休館あり
◎入館料 無料(体験コースは予約優先、1人から参加可)
TEL 072―363―2225
FAX 072―363―2228



施設情報・予約方法はこちらから

社説

プーチンはロシアも破壊する

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 二月二四日早朝、ロシアはウクライナ侵略を開始しました。
 国連憲章は、開始された武力行使が「違法か合法か」を定めるための国際法です。「他国の領土保全・政治的独立に対する武力行使(二条四項)」は違法です。今回国連で、「ロシア非難決議」に多くの国が賛成したのは、「プーチンによる戦争」は国際法上「違法な侵略」と、世界が認定したということなのです。
 「でも既にロシアは、二〇〇八年にグルジアと二〇一四年にクリミアに侵攻しているじゃないか」という読者がいると思いますが、これまでのブーチンは、国際法上ギリギリ「合法」とされる行動をとってきたのです。
 ①「自衛権の行使(五一条)」 ②「国連安全保障理事会の決定による武力行使(七章)」③「自国民保護(慣習国際法)」 ④「人道的干渉(最近の国連決議)」は、「合法な武力行使」です。
 過去の侵攻は「自国民保護」にあたり、ロシアの国民もそれを「当然」と受け止めました。しかし、今回のウクライナ侵略は明らかにこれを逸脱しており、事実を知ったロシア人も動揺しているのです。
 一方、武力行使開始後は、「戦時国際法」が適応されます。「戦時国際法」は「国際人道法」とも呼ばれ、その基本原則は、「軍事目標と非軍事目標の区別」です。今回のロシア軍は、民間人や病院・原子力発電所を攻撃するなど、戦時国際法上「違法」状態にあります。今やブーチンは、戦争犯罪人にほかなりません。
 世界中の軍の将校は、この二つの国際法について学んでおり、当然ロシア軍も例外ではありません。自衛隊も幹部学校で教えています。
 一月三一日、「全ロシア将校協会」のHPは「ウクライナ侵攻をやめること」と「プーチン辞任」を要求する「公開書簡」を掲載しました。会長のレオニード・イワショフ退役大将は、NATOの東方拡大に強く反対する保守派ですが、元軍人だからこそ、「ウクライナ侵略はロシアの孤立」に繋がると強く警告していたのです。
 プーチンはウクライナと大戦後の国際秩序の破壊に加え、ロシア人自身を窮地に追いやっています。独裁者が判断ミスを犯すと「誰も止められない。」三人の独裁者に囲まれている日本は、他人ごとではないのです。