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堺をめぐるなら
『自転車タクシー』で

自転車タクシーで堺のまちをスイスイ
自転車タクシーで堺のまちをスイスイ

 堺を象徴する産業は数多くある中、自転車産業もその一つだ。約200年前にドイツで生まれ、フランスやイギリスで進化を遂げた自転車が日本へ入ってきた際、鍛冶職人による高水準の金属加工技術で知られていた明治の堺にその製造産業が定着した。現在でも堺市内には、自転車関連業者や関連施設、観光地が様々あり、多くの方が自転車産業に携わるとともに、自転車は観光客にとって堺の一側面を知るキーワードとなっている。
 堺環濠エリアや古墳群の規模感は自転車周遊との相性が良く、レンタサイクルで巡る体験も人気だが、やはり、ガイドによる説明があれば更に印象が深まるもの。その声に応える人気の観光プランが堺をめぐる自転車タクシーだ。観光ルートやプランも様々で、所要時間は45分や90分から料亭での昼食または夕食を含めた半日コースもあり、時間帯は日中観光主体のものの他、夕景や季節毎のイルミネーション、夜桜を楽しむプランなどがある。周遊エリアについては旧港や歴史的な環濠エリアと古墳エリアなど、多彩なプランで希望に沿った堺体験が紹介されている。また、お好みのルートやエリアを組める自転車タクシーチャーター、さらに着物の着付けをして楽しむ自転車タクシーめぐり、和装または洋装ウエディングフォトプランなどもあり、いずれもドライバーガイドが、見どころや歴史人物ゆかりの地、史跡を紹介しながら堺のまちを気持ちよく巡ることができる。
 自転車タクシーの特性として、ドライバーガイドと乗客の距離が近く、開放的な空気で会話や観光が楽しめることに加えて、堺の特性でもある堺環濠エリアの広さや古墳の大きさ、小路沿いに点在する老舗や史跡を巡ること、そして堺の産業を体感する上でも自転車タクシーは適役だ。
 自転車タクシーは近年、日本国内の様々な都市で試乗会や運行を行っており、環境への影響の少なさなどから導入を検討する声が高まっている。「自転車のまち」である堺としての自転車タクシーも新しい観光の在り方、新たな交通手段として注目が集まる中、「春の堺」を是非自転車タクシーで体験してほしい。
 堺観光コンベンション協会公式サイトでも自転車タクシーを利用する観光プランを紹介中。
https://www.sakai-tcb.or.jp/tourism/
発着場所 さかい利晶の杜(コースにより他所の場合あり)
定員 1台につき3人(コースによっては2人)
予約など詳しい問い合わせは堺観光コンベンション協会(072―233―6601)まで


ワクチン接種事業
業務功績表彰 市長賞受賞

 市政の推進に貢献し、顕著な業績を上げた職員等に贈られる業務功績表彰の令和3年度 市長賞に「新型コロナウイルスワクチン接種事業(健康福祉局 健康部保健所 感染症対策課(新型コロナウイルスワクチン)担当)」が受賞した。
 新型コロナの感染拡大防止を図るため、予防接種法に基づく新型コロナウイルスワクチン接種事業として、実施計画の立案や必要なワクチンの確保・会場への配送、実施医療機関の確保、集団接種会場の運営、接種予約・相談の受付体制の整備などに取り組み、市民への早期ワクチン接種を実施したことに対して贈られた。
 堺市感染症対策課新型コロナウイルスワクチン企画担当・稲葉和紀参事は「組織一丸となって取り組んできたことが評価されて大変嬉しく思います。引き続き、希望する方が速やかに接種を受けられるよう全力で取り組みます」と話す。
 また、優秀賞として、市長公室広報戦略部広報課広報係(広報紙ニューアル)、環境局環境都市推進部環境エネルギー課再生可能エネルギー係(J―クレジット創出事業の創設と推進)、健康福祉局 健康部保健所感染症対策課・消防局救急部救急課・上下水道局サービス推進部技術力強化担当(新型コロナウイルス感染症患者急増に対する効率的・効果的な救急・移送体制の確立~官民・部局間による連携~)、上下水道局サービス推進部事業サービス課企画係(水道料金・下水道使用料の確認から支払いまでをアプリで完結させる取り組み)、堺市立金岡小学校教育委員会事務局学校教育部 生徒指導課(いじめ認知共有システム「iシステム」の開発)、堺市立金岡南中学校・堺市立三原台中学校(保護者との欠席遅刻連絡のオンライン化、帰国外国人生徒への翻訳アプリを活用した日本語指導など、学校教育ICT化の推進)がそれぞれ受賞した。

社説

今中国は台湾武力統一をどう見ているか

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 ロシアのウクライナ侵略から、二か月が過ぎました。この間中国が、詳細な分析をしていることは、その報道ぶりからも伺えます。「台湾に武力侵攻しても国際的圧力は限定的」という強気な判断と、「武力侵攻による併合は困難」という弱気な判断の両面が見て取れます。
 中国を強気にさせる要因の第一は、「核兵器の有効性」の再認識でしょう。バイデン政権も欧州も「プーチンを追い詰めすぎると核を使いかねない」として、ロシアとの直接的な戦争は想定していません。経済制裁のSWIFTからの排除についても、ロシアの最大手銀行は対象外にするといった抜け道が作られています。
 第二は、NATOがウクライナ領内に軍隊を入れないのは、ウクライナが「同盟国」ではなく「パートナー国」だからです。台湾は、米国にとって「パートナー国」に他なりません。
 一方、中国を弱気にさせる要因の第一は「軍事力で勝るロシア軍の苦戦」です。今回のロシア軍による作戦は、あまりにも規模が小さすぎます。ソ連時代はウクライナよりもはるかに小さなチェコスロバキアのプラハ攻略に、八十万人を投入しましたが、今回は二十万人を五か所に分散した上での侵攻でした。
 携帯式対戦車砲やターゲティング情報を米英から支援してもらうことで、ウクライナ軍がキーフ攻略を撃退したことはご承知のとおりです。これを「非対称戦」といい、米露ともに過去に痛い目をさせられた戦闘様式です。台湾軍の戦術は、この「非対称戦」を前提としています。
 更に地続きの他国を戦車などで一気に侵攻するのと違い、海を横断して行う上陸作戦は、更に三倍の兵力が必要とされます。でも今の中国にはその能力はありません。
 また今回、ロシアに対して欧米主要国が一斉に経済制裁を科したことも第二の要因といえましょう。仮に台湾を軍事的に攻略したとしても、その後何年間も経済制裁をされたら、国民の不満が中国共産党に向かうことになるからです。
 第三は、SNSなどを通じて、ロシアの非道ぶりとウクライナの正当性が世界に拡散されたことです。これもIT大国である台湾が最も得意とする分野です。
 しかし「独裁者の判断は必ずしも合理的ではない」ということが、今回改めて証明されました。どちらを選択するかは、偏に習近平の判断によるものですが、この戦争の行方が中国による台湾統一に影響を与えることは間違いありません。