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堺に集え『狩人』たち

モンスターハンター 堺市とコラボ

 堺市と大人気ハンティングゲーム「モンスターハンターシリーズ」とのコラボイベント、「モンスターハンター×堺 ―いにしえの技にせまる―」が7月9日から「さかい利晶の杜」で開催される。
 特別展「モンスターハンター×堺の刃物」では、モンスターハンターシリーズに登場する「狐刀カカルクモナキ」を原寸大サイズで再現(刃長約2.2m、金属素材を用いた造形物)したものをメインに、武器や防具、最新作「モンスターハンターライズサンブレイク」の設定原画資料などが併せて展示される。

©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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原寸サイズの太刀を再現

 「狐刀カカルクモナキ」の再現には、匠の鍛冶職人 刀匠の水野淳氏(水野鍛錬所)、木彫を前田暁彦氏(木彫前田工房)、彩色を山口雅和氏(プロモデラー)という堺市にゆかりのある技術者が担当する。
 同時展示の「堺のいにしえの技」では、堺市博物館が所蔵する堺製の刀剣「泉州刀」を、また、古墳時代から続く堺の金属加工業の歴史や技術や、かつて鉄砲の主要生産地として栄えた堺の火縄銃などについても紹介される。
 太刀の再現に構想3年、製作2年を費やしたという水野氏は「世界中で人気の高いゲームの企画に関われることを嬉しく思います。作品の持つ世界観をうまく再現し、ファンに満足していただけるよう力を尽くしました。今回の企画で一人でも多くの方が堺を知るきっかけになること、堺の観光分野の発展にもつながればと期待しています」と述べる。
さらに期間中、堺のまち巡りを楽しめるフォトラリーイベント「ワクワク納品依頼」も開催。各スポット(堺伝統産業会館、百舌鳥古墳群ビジターセンター、堺 アルフォンス・ミュシャ館など)では、付近に隠れているコラボアイルーを探すクエストが。隠されたコラボアイルーを見つけ写真を撮り、さかい利晶の杜 ノベルティ交換窓口で見せると、このイベントでしか入手できないコラボデザインのポストカードやノートが手に入る。
 フォトラリースポット1か所のクエスト達成につき、1枚のコラボアイルーポストカード(先着1万名)を。フォトラリースポット5か所以上のクエスト達成で、コラボアイルーポストカードに加えコラボアイルーノート(先着1千名)が手に入る。
 その他コラボレーションイベントオリジナルグッズとして、 堺焼(堺の土で作った焼き物)による「モンスターハンター×堺 コラボ湯呑」(3850円)、どら焼き、キーホルダー、ボールペン、ハンカチなども販売される予定。
特別展 「モンスターハンター×堺の刃物」展示・「堺のいにしえの技」
場所 さかい利晶の杜(堺市堺区宿院町西2丁1―1)
時間 9時~18時(最終入館17時30分)
(休館 7月19日、8月16日)
観覧料 大人 800円、高校生 600円、中学生以下 300円
※モンスターハンター展示に加え、さかい利晶の杜「千利休 茶の湯館」・「与謝野晶子記念館」各常設展示も観覧できます。
問い合わせ
文化観光局観光推進課
TEL
072―228―7493
「狐刀カカルクモナキ」の再現 作刀 鍛錬を担当した水野鍛錬所の水野淳氏
「狐刀カカルクモナキ」の再現 作刀 鍛錬を担当した水野鍛錬所の水野淳氏
 モンスターハンター
株式会社カプコンが開発した日本を代表するゲームシリーズで、2004年発売の第一作「モンスターハンター」以来、多くの作品が各プラットフォームで販売されており、「モンスターハンターライズ」の大型有料コンテンツ「モンスターハンターライズ サンブレイク」も発売。


社説

今こそ事実を見据えた国防議論を

海上自衛隊第41代呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 六月七日、岸田内閣は経済財政運営と改革の基本指針である「骨太の方針」を閣議決定しました。これは、財務省が握っていた予算編成の主導権を内閣に移すため、二〇〇一年から首相が政治任用したブレーンで策定しているものです。今年の特徴の一つは、ロシアによるウクライナ侵略など国際情勢の緊迫化を踏まえ、防衛力強化を表明したことです。
 これに対して各種メディアでは、「適切な予算は、装備など必要経費を含んで検討すべきで、『2%』などと総額ありきでの議論は筋違い」、「安倍元首相らの主張に押される形で修正」、「防衛費増額はアジア太平洋地域の安定を損なう要因になり得る」などと報じられています。
 まず「上限や総額を決める議論がおかしい」という物言いは、今回ではなく、これまでの方法の否定にほかなりません。今年末にも策定されますが、「中期防衛力整備計画」で五年分まとめた総額が決められると、毎年の予算要求は、その五分の一の金額が「上限」とされてきたのです。いくら制服組が「必要な経費」として積み上げても、防衛省の背広組への説明段階で、「上限」を理由にカットされてきました。
 特に航空機の場合、IT化などにより機体価格が値上がりしても、「上限」を理由に「価格低減」が要求されました。その結果、各幕僚監部は、「機数確保」を優先し、保守整備代金をカット、そのしわ寄せは現場に押し付けられました。各部隊では、一、二機を非稼働、つまり部品取り専用の機体として、「共食い」しながらスクランブルや災害派遣に対応してきたのです。
 また、そもそも日本政府が防衛費を二倍にするとは、今回の「骨太の方針」には書かれていません。原案で注釈に書かれていた「NATO諸国においては、国防予算を対GDP比2%以上とする・・」という例示を、本文に持ってきただけです。そこから十七行にわたって日本周辺の安全保障環境が記述された後、「前述の情勢認識を踏まえ、…防衛力を五年以内に抜本的に強化する」と書かれているのです。
 ロシアのウクライナ侵略で、「自ら守る意思と行動がなければ、他国は助けない」ことを目の当たりにした今こそ、イデオロギーではなく、事実を見据えた議論が必要です。