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「輝ける飛躍の年に」
住み良い都市をめざして

堺ジャーナル 恒例新春放談

誰もが「住み良い街」に (堺東駅付近)
誰もが「住み良い街」に (堺東駅付近)
 新しい年の幕が開けた。新型コロナウイルス感染症や、円安による経済の悪化など厳しい状況が続く。4月統一地方選挙、10月 G7大阪・堺貿易大臣会合の堺市での開催など、大きな行事予定や動きがある2023年。
 魅力ある堺のために様々な取組を力強く進める永藤英機堺市長。新年にあたり、年頭の抱負を大いに語ってもらった。

新年あけましておめでとうございます。恒例によりまして、堺ジャーナル新春対談を始めたいと思います。昨年も新型コロナウイルス感染症においては、新規陽性者数増減の波が繰り返され、特に第7波においては非常に多い状況となり、今なお予断を許さない状況が続いています。今後の感染症対策について、昨年1年を振り返った上で、その取組についてお尋ねします。

市長  新年おめでとうございます。
 昨年は新型コロナウイルス感染症が全国的にこれまで以上に拡大し、「市民の皆様の命と健康を何としても守る」との強い思いで奮闘した一年でした。医師会や医療機関の皆様をはじめ、介護や福祉など各関係機関と強力に連携することによって医療・療養体制を構築するなど、スピード感をもって取組を進めました。
 また、感染対策においては「適切なタイミングで的確な情報を提供すること」が重要です。特に昨年は、療養期間や発生届の提出対象などの制度が度々変更されたため、周知のための期間が極端に短いなどの課題に直面しました。そのような状況の中でも市民の皆様に正しい情報をお伝えするため、SMS(ショートメッセージサービス)やLINEアプリ・WEBを活用したコロナ相談の実施、ホームページの充実等を進めました。一時期は保健所への電話が繋がりにくいとの声もありましたが、ICTの活用によって市民の皆様を少しでも和らげることに繋がったのではと考えています。
 また、堺市医師会や堺市薬剤師会、医療従事者の皆様に多大なご協力をいただき、市内300以上の医療機関や集団接種会場において新型コロナワクチンの接種体制を整え、希望する方への速やかな接種を実施できました。
 感染状況に応じた情報の整理をしておくことが、次なる流行や新しい感染症への備えになると考えています。この3年近くにも及ぶ新型コロナ対応で培った力を活かして想定外の事態にも柔軟に対応し、今後も新型コロナウイルス感染症への効果的な対策を進めます。

新型コロナウィルスへの対応
~新しい「ウィズコロナ時代」へ


 新型コロナワクチンの接種については順調に現在も進んでいるのでしょうか。

市長  はい。現在は2回以上の接種を終えた12歳以上の方を対象にオミクロン株対応ワクチンの接種を実施しています。また、初回接種や乳幼児・小児を対象とした接種も行なっています。現時点の国の方針では無料で接種が受けられる期間が今年3月31日までとされていますので、まだの方はお早めの接種をご検討いただきたいと思います。
今後も関係機関の皆様、そして市民の皆様と一体となって感染対策を行うことで、「ウィズコロナ」の中での感染対策と社会・経済活動の両立をめざしたいと考えています。
 市長がおっしゃったウィズコロナ時代を見据えていろいろな仕掛けが必要になってくると思います。その中で、堺市の産業が元気になる取組についてのお考えをお聞かせください。

産業戦略で「未来を創る」
持続・発展、地域の活性化

市長  昨年2月に、堺市の産業が抱える課題や社会経済情勢の変化を踏まえて『堺産業戦略』を策定しました。「インパクトある堺の産業が、未来を切り拓く!」をコンセプトとして、既存の製造業やサービス業が相互につながり、掛け合わさって、相乗効果を生み出しながら堺の産業が躍動し、地域活性化につながることをめざしています。
(次頁へ続く)


社説

抑止力を発揮する日本に期待する

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 昨年十二月十六日、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略(防衛大綱から変更)」「防衛整備計画(中期防衛力整備計画から変更)」のいわゆる安保3文書が改訂されました。特に「周辺諸国に対する我が国の認識」の変更と「反撃能力の保有」の記述がポイントでした。
「我が国の認識」については、●中国は、「我が国や国際社会の深刻な懸念事項」 法の支配に基づく国際秩序に対して「これまでにない最大の戦略的な挑戦」をする国。
●北朝鮮は、「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」●ロシアは、「我が国を含むインド太平洋地域において、中国との戦略的な連携と相まって防衛上の強い懸念」
 いずれの国に対しても、厳しい見方に変更されました。
 「国家防衛戦略」では、これらの国々に対する我が国の「防衛上の課題」を明示し、必要な「防衛力の抜本的な強化」が記述されました。特に、今後五年間の最優先課題は「現有装備品の最大限活用」と「将来の中核分野の抜本的強化」であるとし、「可動率向上や弾薬・燃料確保、防衛施設強靭化を加速」させるとともに、「スタンド・オフ防衛能力や無人アセット防衛能力等を強化」するとしました。
 もう一つのポイント「反撃能力の保有」も明記されました。反撃能力は、「スタンド・オフ防衛能力等を活用する」と書かれましたが、これは「専守防衛の範疇」で運用されるということです。専守防衛とは、「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」と定義されています。この「必要最小限」を超える兵器とは、「性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器」と過去の国会で答弁され、つまり「核兵器」を意味します。したがって、「ミサイルの射程を伸ばした通常兵器」であるスタンド・オフ防衛能力は、「自衛のための必要最小限」の兵器ですから、専守防衛の範疇で運用されるということになるのです。
 元自衛官の筆者としては、そうせざるを得ない国際情勢になってしまったことを残念に思います。
 昨年を代表する漢字は「戦」でしたが、この防衛力強化が「抑止力」として機能し、今年は「平和」に関する漢字が選ばれることを夢見たいものです。