市長 |
昨年11月には国と堺市の合同で総合防災訓練を実施しました。多数の団体や関係の皆様に参画いただき、関係者相互の役割や具体的な実施手順の確認を行うなど、とても有意義な訓練でした。
また、大規模災害時に最優先で実施する救助活動には自衛隊の応援が不可欠であり、平時からの連携確認が重要と考えています。
「自助・共助・公助」の考え方のもと、行政、防災機関、ボランティア団体、地域住民や民間事業者等が相互に連携する災害に強い都市であるために、総合防災訓練や自衛隊との連携訓練など災害対応の実効性を高める取組を着実に実施します。
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市民の防災への思いをより強くしていただくために、体験型の総合防災センターが開設されたのも昨年でしたね。
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市長 |
はい、堺市総合防災センターを昨年4月に開設しました。地震や消火などの様々な体験コーナーや、東日本大震災や阪神・淡路大震災など過去の災害を教訓とした展示パネルなどを設置しており、子どもから大人まで楽しみながら防災の必要性や重要性について学んでいただくことができます。
また、敷地内には消防隊の訓練施設も併設し、消防隊員が実際の災害現場を想定した環境で災害特性に応じた専門性の高い教育・訓練を実施できます。加えて、食糧・生活必需品等を保管する市の備蓄倉庫や支援物資の集積・配送機能を持つ、広域的な災害応急対策の拠点としても活用します。
総合防災センターにはオープン以降11月末までに3万人を超える方にご来館いただきました。
今年もさらに多くの方に体験していただけるよう、SNSなどのメディアを活用した周知を行って市民の認知度を上げ、防災体験やイベント等を通じて、防災について考えるきっかけとなる施設にしたいと思います。また、消防職員がセンターで様々な訓練を継続することで、市民の皆様に安心して暮らしていただくための災害対応能力を高めたいと考えています。
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市民の安全・安心のため、どうぞよろしくお願いします。次に堺市の重点施策としておられる子育て政策の取組について、お教えいただけますでしょうか。
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市長 |
今後も人口の減少が見込まれる中で、長期的な都市経営の観点からも、子育て世代をはじめとする若い世代の定住や転入を促すことは極めて重要な課題と考えています。
『堺市基本計画2025』の重点戦略である「将来に希望が持てる子育て・教育」、『堺市SDGs未来都市計画』に掲げる「誰一人取り残さない社会」、そして『堺市子ども・子育て総合プラン』に掲げる「全ての子どもの人権が尊重されるまち」と「地域社会全体で子どもの健やかな育ちを支え、保護者とともに成長を実感できるまち」の実現に向け、多様化する支援ニーズにきめ細やかに対応できる体制を整えています。
具体的には、すべての人が安全に安心して妊娠・出産・育児ができるように、妊産婦や乳幼児の保健指導や健康診査、産後ケア事業など、子育て家庭に対する切れめのない支援を実施しています。
また、子育て期においては、仕事と子育てを両立できる環境整備として幼保連携型認定こども園や保育所、小規模保育事業の新設や既存施設の増築等による受入枠の拡大や、「さかい子育て応援アプリ」のマッチング機能等の強化により、2年連続で待機児童数ゼロを達成しました。
さらに、社会的養育の推進については、令和4年度を「さかい里親YEAR」と位置づけて、里親登録者の増加に向けて「さかいSDGs推進プラットフォーム」会員の企業や団体の皆様との連携により集中的な広報啓発活動や取組などを包括的に実施しています。
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堺っ子の健全な成長のために、行政、地域が一体となって取り組むということですね。
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市長 |
子どもの貧困や貧困の連鎖の解消、いじめや不登校対策についても新たな取組を次々と導入しています。令和3年度から設置している「子どもの未来応援チーム」を中心に、子どもの貧困率が特に高いひとり親家庭の自立支援に重点的に取り組み、SNSを活用して就業支援を行う「堺市ひとり親×仕事サポートLINE」や、保護者への生活設計セミナーと子どもへの家庭教師派遣をセットにした「ひとり親家庭親と子のチャレンジ支援事業」などを実施しました。また、昨年7月にはいじめや不登校などの課題を抱える児童や生徒を支援するために「いじめ不登校対策支援室」を設置しました。
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今年は国の子ども政策にも大きな変化があると伺っています。
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市長 |
今年は国において「こども家庭庁」の設置や「こども基本法」の施行が予定されています。堺市ではこれまでも、子どもを権利の主体とし、子どもの意見を尊重し、子どもの最善の利益を実現することを根幹に施策を実施しています。こども基本法では子ども等の意見を反映するために必要な措置を講ずるよう規定されています。子どもや子育て当事者の意見を幅広く聞きとり、今まで以上に子どもの視点に立った施策の立案や推進に取り組みます。
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堺ではSDGsにも力を入れられていると思います。その取組をお教えください。
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市長 |
堺市では『堺市SDGs未来都市計画』に基づいて、多様なステークホルダーとの連携によるSDGsの取組促進に向けて、令和3年5月に「さかいSDGs推進プラットフォーム」を設立しました。企業や団体、教育機関など幅広い主体が参画し、業種を超えて会員同士が繋がりながらSDGs達成に向けた活動を進めています。立ち上げから1年半で約900会員に参画いただいており、会員間の連携事業も多く実施されています。
昨年はプラットフォーム会員へのヒアリングや会員交流会などを通して会員間のマッチングを図り、ショッピングモールの会員と連携して「SAKAI SDGs Fest.」をはじめとした各種SDGsイベントや、衣服ロス削減に向けて無料で服の交換を行う「ぐるり お譲り交換会」など様々な事業が実現しました。
SDGsに対する社会的な機運の高まりや堺市での取組の効果もあり、市民のSDGsの認知度は87.6%と高まっています。今後は認知だけでなく、具体的なアクションに繋げることが大切と考えています。今年も多くの皆様と連携してSDGsに貢献する様々な取組を生み出し、市民の皆様がSDGsを実感しながら新たなアクションを起こしたいと思います。
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市民が実感できる
SDGsの取組を |
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国際都市・堺として、国際交流への取組はいかがでしょうか。
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市長 |
昨年1月には姉妹都市であるニュージーランド・ウェリントン市、そして3月には友好都市であるダナン市の市長とそれぞれオンラインでの対談を実施しました。また、「ジャパンフェスティバル・ウェリントン」や、「越日文化交流フェスティバル」が開催された際には私からビデオメッセージを送っています。さらに10月に開催された「チェコフェスティバル」では在堺チェコ共和国名誉領事館と連携し、チェコの文化を知る機会を市民の皆様にお届けできました。
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友好議員連盟も設立されたインドとの交流も進んでいますね。
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市長 |
インド独立75周年及び日印国交樹立70周年の記念事業として、「インドDAY in 堺」が昨年8月に開催されました。また11月にはインドの古典舞踊等が楽しめる公演が開催され、市民の皆様がインド文化に触れるきっかけになったのではないかと思います。今後も様々な国の外国公館や国際機関等との連携を図ることによって、海外との交流を通して発展してきた堺が、将来にも広い視野をもって成長できるように注力したいと思います。
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今年も永藤市長には堺のさらなる発展のため、様々な取組で魅力ある堺をつくっていただけることを強く期待しております。本日はありがとうございました。
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市長 |
ありがとうございました。堺市は現在、「財政危機宣言」を発出するなど厳しい財政状況ではありますが、「堺にこれからも住み続けたい」と思っていただき、将来にも夢と希望が持てる魅力的な都市であるように、「歴史」のまち堺から「未来」を創るために積極的に挑戦し続けます。今年も皆様にとって素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。 |