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「歴史」のまち堺から「未来」を創るための挑戦を

堺市長 永 藤 英 機

 あけましておめでとうございます。
 皆様には、新春を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年は新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行し、様々なイベントや行事が再開されるなどアフターコロナに向けて世の中が力強く動き出す様子を実感することができた一年だったように思います。
 堺市にとっては挑戦の年でもあり、10月28日、29日には「G7大阪・堺貿易大臣会合」が開催されました。
 堺市として初めての閣僚級の国際会議実施でしたが、G7や招待国の閣僚、国際機関の代表者、国内外の記者など堺市を訪れた多くの方に、世界遺産である仁徳天皇陵古墳をはじめ、堺の類いまれな歴史や文化などの魅力に触れていただくことができたと考えています。
 会合の誘致や開催により得られた貴重な経験を活かして、更なる都市魅力の向上や地域活性化、次の時代の堺を担う子どもたちの可能性を伸ばす取組につなげます。また、来年に開催を控えた「2025年大阪・関西万博」に向けての取組や今後のMICE誘致など様々な面から堺の発展・成長をめざして力を注ぎます。
 現在、少子化に伴う人口減少や高齢化の更なる進展により生じる社会的課題、混迷する国際情勢や物価高騰など、堺市を取り巻く環境は厳しさを増しています。市民の皆様の命と暮らしを守り、生活の質の向上を実現するためには、堺市が有する魅力を存分に活かしながら挑戦し続ける必要があると考えています。
 市政運営の大方針である「堺市基本計画2025」では、めざす都市像に「未来を創るイノベーティブ都市」を掲げています。市民の皆様がこれからも堺で安心して暮らし続けることができ、将来にも夢と希望が持てる都市であるように、堺の貴重な歴史や文化、各地域の可能性を発揮し、「歴史」のまち堺から「未来」を創るための挑戦を積極的に進めます。
 結びにあたり、本年が皆様にとりまして幸多き素晴らしい年となりますことを祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。




社説

今年も環境変化への対応力が問われる

海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

新年あけましておめでとうございます。
 昨年二〇二三年の干支「癸卯(みずのと)」は、「これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍する年」といわれました。三月の侍ジャパンによるWBC世界一は、まさにこれを象徴する快挙でした。
 しかし、昨年後半からは、これまで隠蔽されてきた悪弊が次々と露呈しました。
 七月「ビッグモーターの不正請求問題」
 八月「日大アメフト部員の麻薬・大麻所持容疑による逮捕」
 九月「ジャニーズ性加害を認め社長辞任」
 十月「文部科学省、旧統一教会に対し解散命令請求」
 十二月「自民党安倍派政治資金パーティーのキックバック問題」
 ほとんど内部告発がトリガーとなった事件です。「スマホの普及」と「SNSの発達」により「組織内部の不正が隠せない時代」になったといえましょう。
 こういった、法令順守のみならず社会通念も含めた「コンプライアンス」に対する違反は、「レピュテーション(評判)リスク」として企業の信用やブランド価値を著しく棄損するのです。「バレなければ大丈夫」「皆やっているから」ではなく、今や企業は「事業運営の透明性」を高め、「いかなるときにも説明責任を果たせる準備」が必要なのです。
 二〇二四年の干支「甲辰(きのえたつ)」は、「春の暖かい日差しが大地すべてのものに平等に降り注ぎ、急速な成長と変化を誘う年」といわれています。すべてのものに平等に降り注ぐということは、これまで陰になっていた部分にも日が当たり、報われ、大きな成長を遂げることが期待できる反面、逆に、本人たちにとって隠しておきたい部分にも日が当たり、大きな変化が起きる可能性もあるということです。
 今年も国内外のイベントが目白押しです。海外では主要国が「選挙イヤー」になります。十一月の米国大統領選挙が最大のイベントですが、一月には台湾で総統選挙、三月にはロシアでも大統領選挙があります。
 また、国内では政治の流動化が予想されます。岸田首相は、昨年十二月閣僚や党幹部から安倍派を排除する人事を断行しましたから、九月の自民党総裁選は予想外の戦いになるかもしれません。
 今年も国内外ともに、環境の変化への対応力が問われる一年になるのは間違いありません。