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安全・快適に春の堺で自転車散歩

大和川リバーサイドサイクルラインが完成

永藤市長らによるテープカットが行われた永藤市長らによるテープカットが行われた

 「サイクルシティ堺」の象徴となる『大和川リバーサイドサイクルライン』が完成。3月29日に完成記念式典が行われた。
  自転車を形取った三宝さくら公園(堺区)で、永藤英機堺市長をはじめ、葛村和正堺商工会議所会頭、田渕和夫堺市議会議長、久保照男堺市自治連合協議会副会長など関係者によるテープカットや「サイクルシティ堺」のロゴマーク(大阪芸術大学芸術学部デザイン学科 𠮷田 茜さん制作)の披露が行われた。
  このサイクルラインは、大和川沿いの自然や景観を楽しめる全長約25キロメートルで、南河内地域から奈良方面に通じる石川リバーサイドサイクルラインや泉州地域から和歌山方面に通じる大阪ベイサイドサイクルラインと接続している。
  堺市の区間は約8キロメートルで、高規格堤防事業や阪神高速道路大和川線事業によって生み出された敷地を有効活用して安全で快適な自転車通行空間を整備したもの。
  万博の開幕に合わせて、会場である夢洲に隣接する咲州のコスモスクエア駅付近まで延びており、万博会場までのアクセスや日常利用、サイクリングなどでの活用を広く呼び掛けている。


堺市ふるさと納税

打刃物職人に学ぶ
包丁製作を体験

包丁製作を体験できる包丁製作を体験できる

 堺市は、大阪府との共通返礼品として2025大阪・関西万博入場チケットを昨年12月から提供している。今回、万博入場チケットと堺市内での包丁製作体験や周遊観光にお得で便利なチケットなどをセットにした返礼品を万博の開幕日である4月13日から新たに提供を開始している。
  万博入場チケットとセットでふるさと納税返礼品を提供する取組は府内自治体で堺市のみ。セット品のひとつである包丁製作体験では、伝統ある堺打刃物の鍛造職人として、その技術や歴史を受け継ぐ榎並刃物製作所(堺区)で包丁の生地選びから叩き、削り、焼入れまでの工程が体験できる。
  ふるさと納税による堺市の魅力発信や財源確保の取り組みを行っている堺市資金課の担当者からは、「本市の魅力をPRし、堺への来訪者増加につなげたい。」とコメントがあった。
  ふるさと納税の申し込み方法など詳細は堺市HPで。

 


大阪・関西万博開催記念
「ブルノ国立劇場母 Mother」

 チェコ演劇を代表する古典作品に現代的なアプローチを続けるブルノ国立劇場が名作「母」を、大阪・関西万博開催に合わせて、関西で初公演を行う。
  小説家・劇作家であるカレル・チャペック原作。混沌とした時代を懸命に生きた父と息子たち、そして母の愛と葛藤を描くストーリー。チェコ語上演、日本語・英語字幕付き。
開催 6月4日㈬19時開演(18時30分開場)
  6月5日㈭15時30分開演(15時開場)
会場 フェニーチェ堺 小ホール
料金 5,000円(全席指定・税込)
チケット予約 堺市文化振興財団チケットセンター(0570―08―0089)、フェニーチェ堺ホームページ、各プレイガイドほか
問合せ フェニーチェ堺
(072―223―1000)9時~20時
休館日 第1・3月曜(祝日の場合は翌平日)
※未就学児入場不可
※やむを得ない事情により公演内容が変更となる場合があります。
※車いす席は堺市文化振興財団チケットセンターでご予約ください。
主催 堺市、フェニーチェ堺(公益財団法人堺市文化振興財団)
共催 ブルノ国立劇場
後援 チェコ共和国大使館、チェコ政府観光局、在堺チェコ共和国名誉領事館
協力 チェコセンター東京


社説

逆キッシンジャー戦略

海上自衛隊第41代呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授
伊 藤 俊 幸

 トランプ大統領による関税政策で世界中が大騒ぎですが、安全保障分野では、同政権による「逆キッシンジャー戦略」について議論が行われています。
  「キッシンジャー戦略」とは、一九七〇年代に、「大国間の力の均衡」を用いて敵対勢力を分断・牽制した外交をいいます。その中核構想は米ソ中の三角外交にあり、米中接近によってソ連を「戦略的に孤立」させることが主眼でした。
  今回の「逆キッシンジャー戦略」は、この構図を反転させたもので、ロシアとの関係を戦術的に調整しながら、中国を戦略的に孤立させることを目的としているといわれています。
  現実の外交ではロシアとの関係改善に向けた明確な合意は確認されていませんが、トランプ政権はウクライナ支援の縮小を示唆し、欧州よりもアジアを重視する姿勢を強めています。
  一方で対中政策は極めて強硬です。四月には中国への最大一四五%の関税措置が発動され、特に半導体、通信機器、電気自動車などへの圧力を強化しています。中国も報復として一二五%の関税で応じ、両国は経済・技術・資本の三正面にわたり、実質的な「経済冷戦」に突入しているといえましょう。
  しかし、四月には中国人兵士を捕虜にしたことが公表され、「やっぱりロシア軍を中国は支援しているじゃないか」と注目されました。すでに中露関係は、軍事・経済両面で緊密化しており、「逆キッシンジャー戦略」で、ロシアを中国から引き離す構想自体の現実性に疑問が呈されています。現時点で中露による合同軍事演習や中国主導によるウクライナ戦争停戦などは確認されていませんが、両国は分離というよりも、着実に接近は進んでいると言わざるを得ないでしょう。
  こうした中で日本は、安全保障と経済政策の両面で「米中対立の前線国家」という役割をアメリカから強く求められています。台湾有事への備えや経済安全保障強化は喫緊の課題であり、「逆キッシンジャー戦略」へのアメリカの戦略転換は日本の政策選択にも大きな影響を与えています。
  「逆キッシンジャー戦略」は、構想としては一貫していますが、実行の困難さと国際的な影響の大きさから、今後の進展を慎重に見極める必要があるのです。