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日越堺友好協会主催
第1回 ベトナム経済セミナー開催

両国の経済発展を目指して

ベトナム進出を考える企業関係者が参加
ベトナム進出を考える企業関係者が参加
 堺市を拠点に ASEAN (東南アジア諸国連合) の中でも成長著しいベトナムと広範なネットワークの構築を進めている特定非営利活動法人 日越堺友好協会 (加藤均理事長) は11月9日、 在大阪ベトナム総領事館 (堺区) において経済と投資に関するセミナーを開催した。
加藤均理事長
加藤均理事長
 本年9月21日に設立された日越堺友好協会が主催する初めてのセミナーには、 堺市内の企業を中心とする計38社の関係者が参加した。
  セミナーの冒頭、 主催者を代表して日越堺友好協会の加藤均理事長が挨拶を行い、 「初めてベトナムを訪れた時、 人々の正直さや親切さ、 勤勉さなどに大変感動しました。 そして日本人との共通点が多くあることに気づきました」 と挨拶し、 企業活動においても両国は緊密な関係を築くことができると強調した。 同理事長は今から15年前、 轄芬オ道青果地方卸売市場の具足武会長から中世の時代にベトナムに渡った祖先の墓が今でも大切に現地の方々に守られおり、 一度その墓に詣でたいとの希望を聞き、 具足会長と初めてベトナムを訪れたという。 また、 堺市における初めての外国公館である在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館の移転の経緯については、 現在のティーン総領事より3代前の総領事の時代に加藤理事長が当時大阪市内にあった総領事館の移転について打診し、 数年の交渉と調整を経て2009年に念願の 「堺市の総領事館」 の開設につなげた秘話を披露した。
レー・クオク・ティーン総領事
レー・クオク・ティーン総領事
 このように堺と特別深い関係のあるベトナムとの交流はこれからますます盛んになると予想され、 今年6月に行われた加藤理事長とサム国家主席との会談では、 関西圏における経済協力の必要性が確認された。 加藤理事長は、 「経済交流において、 行政、 商工会議所、 企業がそれぞれの役割を果たしながら、 お互いに協力し合いながら進めて行くことが重要と思う」 と今後の関係強化に強い意欲を示した。
キャピタル・アセット マネジメント 杉本年史代表取締役社長
キャピタル・アセット
マネジメント
杉本年史代表取締役社長
 日越堺友好協会の名誉会長を務めるベトナム総領事館のレー・クオク・ティーン総領事は、 セミナーにおいて 「ベトナム経済と投資環境」 をテーマに基調講演を行った。 その中で同総領事は、 日本・堺とベトナムはその歴史的な関係を背景に、 今後ますます戦略的な協力関係を構築することができると述べ、 ベトナムが日本企業を優先的に受け入れる環境づくりに努めていることやベトナムの顕著な経済発展とその展望などについて解説を行った。 また、 両国の関係発展の過程で日越堺友好協会の活動が今後重要になるとの考えを示した。
  セミナーでは続いて、 キャピタル・アセットマネジメント梶A 杉本年史代表取締役社長が 「激動する世界経済とアセアン・ベトナム最新事情」 をテーマに講演し、 平均年齢が28歳と言われるベトナムの勤勉な労働力や国営企業の民営化の促進による高い経済成長率、 石油、 石炭、 レアアースに代表される豊富な天然資源など、 ベトナム社会と経済の潜在性の高さについて解説した。 また、 ベトナムではインフラ整備が進み世界最大級の 「ロンタン国際空港」 (ドンナイ省) の建設など今後世界経済において重要な位置を占める国となる可能性を指摘した。
  その後、 参加者からベトナム・ドンの通貨政策などについての質問があり、 会場では活発な質疑応答が続いた。

社説

現代の大義とは?
東洋大学学長 竹 村 牧 男   

 インド起源で西洋と東洋の双方に伝播したものが、 いくつもある。 たとえば、 グレゴリオ聖歌と声明、 ロザリオと珠数などである。 チェスと将棋も、 その一つである。 興味深いのは、 日本の将棋では取った駒を使えることである。 これは、 他の将棋には見ることができない、 日本独自のルールらしい。 このことがあってコンピュータも、 日本の将棋に関しては、 人間にいまだに追いつけていないと聞く。
  取った相手の駒を自陣の駒として用いていくことに関して、 私は日本の古武道の世界を連想する。 かつて私は、 鹿島神流という古武道を楽しんでいた。 それは、 型のみをひたすら稽古するもので、 試合などは一切ない。 稽古する武芸も、 剣もあれば槍も薙刀も杖等もあり、 一方、 柔術もあり、 あらゆる種目をそろえている。 どんな武器を持った相手がきても、 立ち会うことができなければならないからである。
  鹿島神流は、 けっして相手をあやめることを第一の目標においてはいない。 武道といっても、 そもそも相手をいかにやっつけるかを目的としてはいないのである。 そうではなく、 相手がどのような技でかかってきたときには、 どのように対応して、 敵を自分のコントロール下におくかということのみを、 ひたすら追求している。 自分のコントロール下においた相手に対しては、 大義を示して、 これに参加していくかと問い、 降参して参加の意を表明すれば、 今度は味方としてともにその大義の実現に向かって協働していく。 これが、 日本古来の真正な武道の目的としたところであった。
  このような武道は、 「殺人刀」 ではなく、 まさに 「活人剣」 である。 日本の将棋のルールも、 実はこの精神を引いているのであろう。
  相手をむやみに殺傷するのではなく、 むしろ相手をも我が方の味方にしてともに生きていくというこの精神は、 大変、 崇高なものだと思われる。 我が日本の自衛隊も、 この精神こそを遂行してほしいものと思う。 ただ、 このことが実現するためには、 相手も納得し、 誰もが賛同できる大義というものがなければならない。 では現代の大義は何に求められるべきであろうか。 それはやはり、 地球社会のサステイナビリティ (持続可能性) であると言うべきであろう。