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『「対中警戒感」を共有する
 新・同盟国 ベトナムを
知れば見えてくる日本の危機』

梅田邦夫著 小学館

 本書は、前・駐ベトナム全権大使である梅田邦夫氏のベトナム紹介であるだけではなく、現地で過ごした全権大使だからこそ知る、日本にとってのベトナムの重要性、ベトナムの改革努力、ベトナム人の親日感について政治的背景とともに語られ、説得力のある一冊になっている。さらに、副題にあるように、ベトナムと同様に共産党一党体制の国である中国についても言及している。ベトナムと中国は、著者がいう「器」は一見似ているが、似て非なるものであることも明確に述べている。ベトナムと中国の為政者による統治を比較することで、日本の進むべき道について示唆しているのが本書の特徴である。また、ベトナムとの関係重視を示しながら、同国の現状の課題についても丁寧に述べている。筆者はベトナム訪問の際、何度か梅田氏と会う機会に恵まれたが、日本の代表としての多忙なスケジュールの中で、日本とベトナムの橋渡しとして奔走していた姿が思い出される。かかる好著を社会に提供した著者に敬意を表したい。

京都産業大学文化学部国際文化学科 教授 大平 睦美



“上野芝町”
堺 町並み スケッチ(257)
野村亜紀子

野 村 亜紀子

 梅雨時は緑が美しい! 履中天皇陵横の知人宅からの眺め、緑したたるとはこの事か。緑の輝き、緑の匂い、緑の柔かい美しさ。このあたりは御屋敷街、それぞれ庭はよく手入れされ、垣間見ると花が咲きみだれ、美しい街をさらに美しくしていて、見飽きない。気付くと、久々に五感で味わう自然の優しい癒しをいただき、生きている実感に満たされました。ありがとう。日常のこうした時間が奪われて二年、人との交流が癒しだということに気付き、友人・家族の笑顔によって幸福感が満たされているのだと気付き、何げ無い日常が大切な事だと気付き、そしてマスクが邪魔で、笑顔が見えない事が一日も早く解消出来るよう願います。例年より花が美しく、緑が色濃く、自然の力を感じるのですが、それは、いつも見過ごしているものをゆっくりと見つめている時間があったからでしょうか。不本意ながら、家での生活中心であったこれまで。大切な一日を有意義に過ごす工夫を心がけていきましょう。最近、近所にムクドリが来て賑やかに鳴きます。自然は何も変わらない!


ヘルスケア分野
新事業ビジネスプランを創出

「カレッジラボ」がスタート

 堺市、堺市健康寿命延伸産業創出コンソーシアム(SCBH)、近畿大学医学部が連携し、企業が提示するヘルスケア分野に関するビジネステーマを基に、学生の自由なアイデアとディスカッションにより新たなサービス等に関するプランを作成し、企業に提案する「カレッジラボ」が、6月から開催されている。
 同取組は、堺市が大阪府と進める、泉北ニュータウン地域を重点地域としたスマートシティ推進プロジェクトである「SMART SENBOKU PROJECT」の一環として、健康寿命延伸に関する先導的なサービス等の創出を通して、地域の活性化に資する取組を進めるSCBH(事務局堺市)が、SCBHの会員である南海電気鉄道株式会社の協力を得て、近畿大学医学部と連携し、1年次の授業の一環として実施するもの。昨年に引き続き、3者間での連携は今年が2回目となる。
 テーマとして、「コロナ禍で増えた『暮らし』の時間と泉北ニュータウン地域の地域資源(豊かな自然環境や数多く立地する大学、駅前の各種商業施設やパブリックスペースなど)を活かした、泉北ニュータウン地域の住民の健康寿命延伸に資するサービス・仕組み」というものが設定されており、学生らによるグループディスカッションを主として開催されている。
 これを通じて、堺市及びSCBH、近畿大学は、産学公民の連携によるヘルスケア分野における新たなサービスの創出と、同医学部生の課題解決力の育成を目指す。

国防と神社 (40)承久の変800年シリーズⅥ

上皇方で殉節した忠臣たち 中編

大阪観光大学講師 久野 潤

 前回は、上皇方の忠臣として処刑された葉室(藤原)光親と、祭神として祀られる神社について触れた。今回は、他の忠臣たちを取り上げたい。
 葉室(藤原)宗行は、建保2年(1215)参議、同6年に正三位・権中納言となり、承久の変直前の承久2年(1220)正三位に叙せられた。変後、葉室光親・藤原範茂・源有雅と共に真っ先に六波羅に出頭したが、鎌倉へ護送されることになった。文才の誉高く、護送途上の遠江国菊川(現静岡県菊川市)で宿の柱に書きつけた(異説あり)という「昔南陽縣之菊水 汲下流延齢 今東海道之菊川 宿西岸失命」は『太平記』などにも登場し、世に知られることとなる。しかし宗行も鎌倉にたどり着くことなく、駿河国藍澤(現:静岡県御殿場市)で斬られた。
 藤原範茂は建保7年(1219)蔵人頭、承久2年に従三位・参議に叙任された。後鳥羽上皇挙兵の際には自ら宇治に出陣して指揮を執り、奮戦して3日にわたり鎌倉幕府軍を喰い止めた。範茂は幕府方総大将である北条泰時の弟 朝時により護送されたが、足柄山麓の早川に差し掛かった時、自ら入水を希望して絶命した。
 源有雅は鎌倉幕府成立前の文治5年(1190)侍従、承元2年(1208)蔵人頭、翌年参議、建保6年(1219)正二位に叙任された。藤原範茂と共に宇治で奮戦したが、敗退し、小笠原長清に預けられ護送された。北条政子との縁故で助命を願い出たが、やはり鎌倉に着く前に甲斐国小瀬村(現山梨県甲府市)で長清に斬られた。
 葉室宗行が斬られた地には宗行のものとされる墳墓が営まれていたが、当地に明治10年(1877)地元有志により藍澤神社が創建された。宗行が葉室光親・源有雅・藤原範茂・一条信能と共に祀られたため、五卿神社と呼ばれている。境内には今上陛下により桜が植樹され、「浩宮徳仁親王殿下お立寄り記念樹」碑が建立された。


堺大魚夜市
オンラインで開催

 堺大魚夜市実行委員会事務局は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、毎年7月31日に行われる堺の夏の風物詩的行事「堺大魚夜市」をオンラインで開催する。これに合わせて、堺大魚夜市特設サイト(http://yoich.com)が開設され、神事である奉納行事、地域特産品及び地元企業のオリジナル商品の販売が実施されるほか、アーティストなどによるパフォーマンスのWEB配信も行われる。日程はいずれも7月上旬から8月末の予定。